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「自分のこと棚上げして弟批判かよ、フザケンナ。男のクセに女々しいのよ、アンタ」


「なんだとッ!」


剣を抜きやがったので魔力を最大限込めて魔法を放った。

ザマアミロ!





ティーナ様にお仕えして一月。

王宮に慣れ仕事に慣れ平穏な日々。

メリーさんともサリーともモリーとも仲良くなれたし、ティーナ様も今ではまるで姉妹のように慕ってくれている。

気分的には孫なんだけどね。


そんな平穏な日々に水を差すような真似をしてくれやがったのは、父王も母王妃も同じご兄弟で在らせられるマリオン・マール様。愛称はリオン様。

御歳25とまぁ年の離れた兄弟である。

彼はどうやら弟の女装が気に食わないらしい。

それで侍女である私に突っかかって来た模様。

本人に言えよ。

そう思っても一応王子だし、穏便に対応。

割と我慢してたんだけどついついぷっつんきちゃったっていうか。







「ちょっとそこに座りなさい」


「・・・もう座っている、というか座らせられている」


「気分よ気分」


不敬罪はもう今更。

とりあえず強制正座である。

いやぁ魔法って便利よねぇ。


「それで?」


「あいつは、母上が”女の子が欲しかったのに”という一言で、アレだ」


「ふむふむ」


「そんなことで女装に走るなど、おかしいだろうが」


「まぁおかしいかもしれないけど、子供は大人の些細な一言が原因で深く傷つくこともあるわよ」


「アレはそういう問題か!?」


「うるさいわねぇ、じゃあアンタが不能なのもおかしいじゃない」


「、ふ!」


あ、泣きそう。

ごめんって、本当のこと言って。


「不能ではない!女が嫌いなだけだ!」


「なんだ、男色か」


「違う!」


「不能じゃなくて女が嫌いなんでしょ?男色じゃない」


「違う!俺は断じて男に性的興奮は覚えんッ!」


性的興奮って。


「まぁそれはどうでもいいわ。次期国王が世継ぎを作れないのは問題だわ。おかしいって言われるでしょうよ」


「っく」


「言われると嫌でしょう?それなのにどうして実の弟に同じこと言うの?」


「それとこれとはっ!」


「同じよ。家族って割と無条件で味方するものだと思うんだけど。それが家族愛っていうか」


そりゃあ悪いことをしたら叱るけど、それで見捨てたりはしないと思うのよね。


「確かに父も母も同じ兄弟ではあるが、殆ど話したこともない」


王宮のような広い場所で生活し、各自部屋もあり、基本的に部屋食となればそりゃあ接触も少なそうだけど・・・兄弟なのに?

王族ってそんなものなのかしら。


「とにかく、似合ってるんだから良いじゃない」


「は?」


「ティーナ様、ドレス似合ってるでしょう?だから良いのよ」


「・・・は?」


「かわいいは正義よ」


「・・・・・は?」


「ティーナ様はドレスが似合っててかわいいわ。だから女装してて良いの」


「お前、何を言っている?」


「私の持論よ。似合うならば女装だって許されるの」


まぁネタならば似合わない方がオイシイ。

笑いが取れる。


「ティーナ様は似合ってるから万事OK!ね?」


「ね、ってお前・・・」


「ティーナ様が成長すれば女装は止めるか王位継承は辞退かどちらかよ。あまり気にしなくても良いと思うわ」


「・・・お前と話してたら気が抜けた」


「うふふ。それでは私、仕事がありますので御機嫌よう」


侍女服の裾を摘まみ礼をする。

このまま不敬罪については忘れてね。


「おい待て」


「・・・何でしょう?」


「お前、名前は?」


「・・・シュカと申します」


どうせ嘘ついてもばれるし、正直に答える。

これが私とリオン様の記念すべき?初対面である。



**



「とまあそういうことがありまして」


「シュカ・・・」


米神を抑え呻くメリーさん。


「結果良ければすべてよし、ですわ」


あれから度々リオン様はティーナ様のお部屋を訪ねるようになった。

リオン様は魔法騎士団に所属しているので暇というわけではない。

非番の日に折をみて、という感じなのだけど、今までそういうことがなかったのでメリーさんは不審に思ったようで。

ティーナ様は純粋にリオン様の訪問を喜ばれているようなので良いと思うんだけど。

リオン様も優しい兄上って感じ。

微笑ましいわぁ。


「シュカ!シュカも一緒にお茶しましょう!」


「はい、畏まりました」


ティーナ様に呼ばれ、今日もお茶に参加する。

あまりよくないことはわかってるけど、部屋の中だけですから。

メリーさんは溜息はついたけど、弱弱しく微笑んだので諦めてくれたようです。








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