表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/21

0 誕生

暗転して、それから――――――。


私は今、暗い世界で漂っている。

水の中のようで、ゆっくりと揺れる。心地よい。

時折、話しかけられているようだ。

でも何を言っているのかわからない。


このままこの時間が続けば良いのに、そうも行かないようだ。

何か強大な力で、排除されようとしている。

狭い場所に押し込められる。

痛いし、苦しいし、嫌なのだが、抵抗することもできず。


明るく賑やかな場所へ放出された。









乳をのみ、垂れ流し、泣いて、寝る。


それが赤ん坊の仕事だ。

どうやら私は赤ん坊のようだから、その赤ん坊の仕事をこなす。


漠然とああ死んだんだな、生まれ変わったのかな、と思う。

忘れているだけで赤ん坊の時は前世の記憶があるのかな。

成長過程で忘れて行くのかもしれない。


どうやら私には乳母がいるらしく、乳母と両親、兄姉らしき子供は金髪碧眼だ。

おそらく私も金髪碧眼に違いない。


家族の話を聞いていると、どうやら此処は貴族のお屋敷らしい。

まぁ人種的に日本じゃないのはわかってたけど、現代社会で貴族制度が残ってるってどこ??


ヌーフェという土地なのはわかったけど、それってどこの国?

他の固有名詞も聞いたことのないものばかり。


まぁ赤ん坊なんだし、時間はまだたっぷりあるよね。

色々考えてると眠くなってきた。

おやすみなさい。




**




数日過ごしてわかったこと。

会話は理解出来るけど、参加は出来ない。

喉が成長していないからだろうか。


今いる場所もわかった。


リリスフィア王国、ヌーフェ地方、ルーフェン。

聞いたことのない国名。


小さい国で知らないだけかと思ったけど、どうやら違うらしい。

何故なら、魔法を、使っているからだ。


え、なに、ハリー○ッター?

存在が明かされてないだけで実は魔法使いって存在してるの?




とまぁ現実逃避したところでどうにもならないわよね。


私はどうやら前世と違う世界で生まれ変わったらしい。

それが良いわけでも悪いわけでもない。

とりあえず戦争のない平和な国でありますように。

私はただそれだけを願い、今日も眠るのだ。




***



「リィリィ」


どうやら私の名前らしい。


「リィリィ、はやくおおきくなってね」


私の丸まった掌に、指を入れくすぐってくる。

それが何だか楽しくて、私はきゃらきゃらと笑う。

それが嬉しかったのかお姉様も笑った。


「おかあさま!リィリィがわらったわ!」


「本当ね、可愛らしい」


「はやくおおきくならないかしら。そしたらいっしょにあそべるのに!」


あと2年は待ってください、お姉様。

お姉様はオレンジ色のドレスを揺らしながら、私を覗きこんでいる。

ああ、私も成長すればドレスを着ることになるのね。

お母様は美女だしお姉様も美少女なので、きっと私も美少女よね。

そうでないとドレスが痛々しいので助かるわ。


ああ、そろそろ眠くなって来た・・・。

おやすみなさい、お姉様、お母様。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ