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番外4 ティーナ 10歳 (シュカ12歳)

【その一・まずは仲良くなりましょう】



シュカに相談?して数日後、お兄様と一緒にキム様がやって来た。

赤い髪を一つに束ね、すらりとした凛々しいひと。

ああ、格好良い!


うっとりと眺めているとシュカが手早くお茶を淹れてくれた。


「お初にお目にかかります、キムと申します」


魔法騎士団の礼をするキム様。

様になっていてますます格好良い。



緊張して話せない僕を見て、シュカがキム様に色々聞いてくれる。


「あの石鹸、気に入ってくださったのですね。嬉しいですわ。ティーナ様も使ってらっしゃるの」


「そうなのですか。ティーナ様には薔薇がお似合いですしね」


「キム様は他に何か愛用しているものってありますか?」


愛用しているものが同じだったりして、嬉しくなる。

僕は主に魔法学校についての質問を、シュカがプライベートな質問をちょこちょこ。

お兄様は完全に空気状態。

余計なことを言ってしまうとシュカに怒られるからかな。




こうして初対面の場は、次回の約束も取り付け無事終了した。



「うん、いい感じでしたね。完全女子トークでしたけど」


「女子トーク?」


「女の子同士の会話ってことです。まずは仲良くなることが目的ですから上々です」









【その二・こまめに会いましょう】



「遠くの親戚より近くの他人って言うし・・・」


「え?」


「あぁ、なんでもありませんわ。ともかく、学校が始まってしまうとあまり会えなくなりますからね。今のうちにいっぱい会って仲良くなりましょう」


「うん!」


あと2ヶ月で学校が始まる。

それまでに出来るだけたくさん、キム様に会いたい。

たくさんお話しして、キム様のことたくさん知りたいんだ。


一週間に2,3回、キム様が訪ねてくれるようになった。

お兄様は来ない。シュカに禁止されたのかな?

シュカも退室しようとしたけど、引きとめた。

だって2人きりだなんて、どうしたら良いのかわからないし。


魔法学校の話、魔法騎士団の話、家族の話、城下町でよくいくお店、愛用品の話。

恋人も婚約者も、今のところ候補の話もなく、ご両親は諦めているそう。

原因はキム様の仕事にあるんだろうけど・・・。


キム様は魔法騎士団を辞めるつもりは全くない。

それでも良いから結婚を、というような貴族は早々いない。

その上、お兄様の側近。

異性の側近というのはお手付き、そのうち王妃になると思われがちなので、婚約の申込がない原因になるみたいだ。

良かった。

僕が16になるまでこのままの状態であってほしい。


「キム様は御休みの日、何をしてらっしゃるのですか?」


「そうですね・・・これといった趣味がないもので、読書か買い物といった感じでしょうか」


読書か買い物。

どんな本を読むのかな。

僕はあんまり本が好きじゃないから、本のことについてはお話出来ない。残念だな。


「買い物・・・今度の休日、一緒にお買い物、なんていかがでしょう?」


「え?」


「ティーナ様は私以外の女性とお買い物に行ったことがありませんので・・・私もキム様とお買い物に行きたいですわ」


「私でよければ・・・」


「うふふ、ぜひ!都合の良い日がわかったら教えてくださいませ」


あれ、これどういうこと?

何故かとんとん拍子で話が纏まる。

にっこりというよりにやり、とシュカが笑ったのを僕は見た。








【その三・お出掛けしましょう】



キム様の休日に合わせてシュカの休みも被せ、3人で城下町でお買い物。

キム様が浮かないように私服で来ている。

初めて見る私服は、最近流行りの女性用パンツルックで格好良い。

背が高くてすらりとしてて脚も長いからすごく似合う。


シュカと僕はいつも通りワンピース姿。

これも割と最近の流行りでドレスを少しおとなしくした感じのもの。

動き易いのにかわいいから気にいっている。



城下町を歩く。

治安は良く、人攫いの類や泥棒も出ない。

これは僕が王族だからってわけではなくて、本当に治安が良いのだ。

生活困窮者はそれなりの施設もあるし、孤児院も充実している。

王制が今の状態になってから、本当に良くなったのだと、王国歴で習った。

僕も将来、その一端を担うのだ。

頑張ろう。


1人で気合を入れていると、いつの間にかお店に着いた。

シュカがよく利用するという雑貨屋さんだ。


「ここの布とか毛糸がかわいくて。今度編み物でもしたいなって」


「編み物をされるのですか?」


「えぇ。私意外と手先器用なの」



シュカが掌を開いて見せる。

刺繍は貴族間で流行っているけど、編み物はどちらかというと平民の間で流行っている。

貴族で編み物を身に付けている人がいないのはそのせいなのかな。

ん?逆かな?あれ??



「ティーナ様?入りますよ?」


「あ、うん!」


店内は女性客で賑わっていた。

布、糸、毛糸、綿など、手芸に使うものがたくさん並んでいる。


あ、この布かわいいなぁ。

手触りも良い。

シュカにこれでクッションを作ってもらおうかな?


あ、そうだ。



「キム様、魔法学校で何か必要なものってありますか?シュカに作ってもらえるものは作ってもらいたいなぁって」


「あぁ、なるほど・・・そうですね、教材や着替えを入れるバッグくらいでしょうか」


布を選んでシュカにバッグを作ってもらおう。

教材と着替えと、別々のバッグの方が良いかな。


一通り店内を見て、買い物をしたら次は昼食。

お腹空いたなー!






















遠くの~の行は敢えてです、ミスではありません。

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