表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/21

「コホン、申し訳ありません、取り乱しました」


深々と頭を下げる。


「いや、良い。どういうことか説明してもらえるか?」


「はい。信じていただけるかわかりませんが・・・



私には、前世の記憶があります」



「前・・・世?」


リオン様はぽかん、とただただ私を見つめる。

そうですよね、頭可笑しいんじゃないかって思いますよねっ!


「30代後半で、夫と、子供も2人いました。子供たち、今頃きっとリオン様よりも年上です。

 それである日急に心臓が痛み、気がついたら赤ん坊で」


・・・そして今に至る、と。


「なるほどそれでか・・・」


「何がです?」


「言動が10歳じゃないからな。むしろ姉上とか母親とか、年上のようだと、思っていた」


「・・・・・ロリコンじゃなくてマザコン!?」


「何でそーなるっ!!しかもこの流れでそれかっ!?」


「むしろババコン!!??」


「っていうか肉体年齢11歳なんだから問題ないだろっ!」


「やっぱりロリコン!!!???」


「ちがーうっ!!」




「・・・信じて、くれるんですか」


「あぁ」


「そう・・・ですか」


初めて前世の記憶を話した。

信じて貰えた。すごくうれしい。

だってどうしても普通じゃないし、私だったら信じてない可能性の方が高いと思う。


「ありがとうございます。・・・だけど、そろそろ離してくれませんか?」


「嫌だ」


「リオン様・・・」


私を抱きしめるリオン様の手の上に、手を重ねた。

そして。


ぐいっ!


ドスン!


「いっっ」


「セクハラで訴えますよ」


腕を取ってくるっと引っ繰り返したのである。

体制が体制だったので出来た技。


「まぁ、信じてくれたならわかったでしょう?5X歳の精神年齢で25歳の子供を好きになるのは無理があります」


「それは・・・そうかもしれないけど、俺はそんなことで諦められない」


「聞き分けのない子供は嫌いです」


「しょうがないだろう!好きなものは好きなんだ!!」


若いなぁ。熱いなぁ。


「はぁ・・・わかりました。私が16になったとき、私のことをまだ好きだったら、その時は前向きに考えます」


「本当か?!」


「はい。ただ贈り物とかそういうの、本当にやめてくださいね。それに5年もありますから、心変わりもそれはするでしょう。その時は心おきなくその方を娶ってくださいね」


「大丈夫!心変わりなんてありえない」


「はいはい。それじゃ、私は出掛けますので、リオン様も出てください」





新の月の休暇明け、城下町へ来たのには訳がある。

こちらの世界でも新春セールがあるのだ!!

女は買い物好き。これ常識。

かといってドレスや靴、アクセサリーの類はたくさんあるので自重。

買うのは刺しゅう糸や毛糸、布、綿、茶葉などだ。


私の王宮での趣味は専ら手芸である。

ぬいぐるみやクッション、ワンピースなどの簡易服、刺繍など。

ティーナ様に一番人気なのはレースで出来たクマのぬいぐるみ。

中身はバラのドライフラワーなので良い香り。

芳香剤にもなり飾りにもなり優秀なクマちゃんなのだ。

そして今はビーズのクッションを作っているところ。

ビーズといっても代用品だ。発泡スチロールっぽいもの、こっちで見ないし。

低反発も作りたいところだけど、未だ代用品が見つかっておらず。


「きゃっ!」


「っと、失礼」


人が多いこともあり、ぶつかってしまった。

落としかけた荷物を、キャッチしてくれた親切な人。

騎士の鎧を着た、凛々しい美人。

赤い髪を後ろで一つに束ねている。


イイ・・・!オスカル様・・・!


「あ、ありがとうございます!!ごめんなさい、私の不注意で!!」


ま、ベルばら読んだことないけど!

男装の騎士って感じ?

カッコイイわ!


「いや、こんなに人が多くては仕方がない。・・・君は確か、ティーナ様の?」


「はい、ティーナ様の侍女で、シュカと申します」


「そうか。私はリオン様の側近をしているキムだ」


「・・・リオン様の?」


女嫌いと言いつつ、側近は女。不思議なことをするなぁ。


「あぁ。側近とは名ばかりだがな。あの方はすぐどこかへ行ってしまうので」


「大変ですねぇ」


「そうなんだ・・・今後1人でいるのを見かけたら是非知らせてほしい」


「わかりましたわ」


その後キム様は部屋まで送ってくれた。

なんて紳士!!

これが男だったら丁重にお断りだったけど、女の人だし甘えさせて貰った。


「そうだ!良かったらこれを」


お礼にと、ソープをひとつ、プレゼント。

バラの香りがするもので、実家で作っているものだ。

とはいっても家は商家ではない。

自分の家で使う分だけ、作っているのである。

主に私の好みで。

オイルは使う人使わない人がいるけど、ソープは誰でも使うでしょ!


「ありがとう」


ああ!笑顔もステキ!!

リィリィシュカはすっかりキム様のファンになりました。

今度リオン様におねだりして連れて来てもらおうかしら。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ