8話 連鎖
昔話。彼の父親の話をしたレイオットは疲れ切った顔をしていた。
「この通り、私たちバーンズ家にはクレント族の血が混ざっているのです。そして君・・・レイン君だったかな?君の親か祖父母が私の父が放った子供達の誰かだったのだろうね。その杖は前の使用者と一定の血の繋がりがあれば使用することが出来るのだよ。」
「なんで・・・あなたもクレント族なのに。皆を地下に閉じ込めるような・・・」
「この子たちはレミーの兄弟だ。私の子供なのだよ・・・私もレミーも子供のころから親族中から混血だと差別されたさ、それでも挫けなかった。この子たちにも外で生きていけるように訓練するつもりだよ・・・こんなこと言いたくないけどつらいのは私だって同じなんだよ・・・」
レイオットの子供はレミー以外全員クレント族の特徴が発現してしまったようであった。いつかレミーが言っていた生まれも血筋も関係なく最強の魔法使いになれるように教えたいという夢。あの時は貴族の娘のレミーが何を言っているのかと思ったがこんな事情があったとは・・・
「もう今日は遅い。君も私の親戚なのだろう、外で生きていけるように鍛えてあげることくらいはしてやれる。どうしたいか明日までに決めるといい。ペルちゃんも魔法を使えるのならきっと役に立つ魔法がこの屋敷には数多く貯蔵されている。旅の疲れが癒えるまで、ここで訓練するといい」
そう言ってレイオットは去っていった。
『レイン・・・どうしたい?』
「よく、分からないんだ。差別の元凶・・・父さん達のかたきも分かったのに。自分が何をしたいのか」
「ごめんね・・・今日は一人で考えようと思う。おやすみペルさん」
そう言ってレインは一人でベットの中に潜り込んでしまった。さすがに10代前後の少年にはこの話は重過ぎるだろう。私だって未だに咀嚼しきれていないのだ。悶々とした気分のなか私は朝まで今日も寝付けずに翌朝を迎えるのであった。
「それで、君はどうしたい?レイン君」
レイオット様が問いかける。昨日一晩結局一睡もできなかった。ペルさんには兄弟たちは生きていると思うと言ったが魔王城の周辺に放たれてこれまで訓練も受けてこなかった人間が生きているとは思えない。いまさら母や祖母に昔のことを聞くのは無理だろう。私が本当にこの人の親戚かどうかは杖でしか分からないのだ。
それなのにも関わらず受け入れてくれたこの人にこんなお願いをするのは気が引けるがそれでも・・・
「僕は・・・」
近所にもクレント族の子供は住んでいたが彼らは、昔の僕は夢なんて持てなかった。父も祖父もこの地の奴隷だったし、僕に子供が出来ても孫が出来ても奴隷なのだろう。そう思って生きてきた。でも、普通の人は夢を持てるのだ。どうしてクレント族だけが持ってはいけないなんてことが許されよう。
「僕は・・・この国で魔法を学んで、クレント族のみんなを助けたいです!」
一晩考えた答えはこれであった。僕は目も髪もクレント族の特徴を引いている。きっと入学すらままならないだろう。それでも、もし1パーセントでも可能性があるなら、僕はこう願わずにはいられなかった。
「それはこの国の制度上難しい。それは分かったうえのは「いやはや、素晴らしい!きっと昨日バーンズ卿からこの国の歴史を聞いたのだろう?俺もこの国の体制には不満しかなかったのよ」
そういって扉を開け入ってきたのは昨日町に入るとき助けてくれた聖女様の兄ヒイラ様だった。




