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6話 バーンズ家 前編

しばらくして、門から初老の夫婦が出てき、私を見て驚きの声を上げる。


「まさか、本当に聖女様の馬が・・・」


『お久しぶりです。レイオット様、ミリア様』


この夫婦こそ魔法使いレミーの両親で初老の男性レイオットは腰まで伸ばした白髪と黒髪を一本に纏めた紳士で、女性、母親のミリアはショートカットの金髪がよく似合う婦人であった。前にあった時に比べ老けたように感じるのは歳月かレミーを、娘を失った悲しみなのだろうか。


「驚いたな・・まさか馬が念話を使えるとは、やはり聖女様のお力だろうか・・・それで、この少年は・・・クレント族か」


「初めましてレインと申します。」


レインが緊張した面持ちで口を開く。これまで関わってきた人はクレント族に寛容な行商人と変人(ヒイラ)を除いて敵対的な人間だった。そして法国は特に厳格にクレント族を差別している国であり、その国の貴族であるレイオットを前にしては仕方のないことだろう。


『大丈夫、バーンズ家の人はそんなに・・・比較的に寛容だよ』


「まぁ・・・確かペルちゃんだったかな?のいう通りだ。取り合えず家に上がりなさい。話はそれからだ」


レミーがそうであったように両親も比較的にクレント族に寛容であるようだ。そうして家の中に案内される。馬の私まで家の中に入れてくれるのだから御両親の懐の深さが良くわかる。


「それで、私の娘はどうやって死んでしまったのか、君は知っているかね?」


魔王城で見た光景。レミーの最後と埋葬場所、旅の中のレミーの様子等を話すと彼らは誇らしげな顔を浮かべる。その後は和やかな時間を過ごしたが、いつまでも本題から逸れるわけにはいかないだろう。


『それで、レミーが使っていた杖をお返し・・・魂だけでも故郷に戻しに来たのですがその・・・この杖。レミーが言うには選ばれた者しか使えないとのことですが、本当ですか?』


「えぇ、これは私たちの血族に近くないと使えない物でしてな・・・それが如何いたしましたか?」


血族でなければ使えない。それはかつてレミーも言っていたことだが・・・先日野盗に襲撃されたさいレインが放ったであろう魔法にはレミーの杖が使用されていたことを思い出す。


『ここおにいる少年・・・レインというのですが、彼がこの杖を使って魔法を放ったのです。・・・気分を害したら申し訳ないのですが、親戚だったりしますでしょうか?』


彼はしまったという顔をしたのち少し考えるようなそぶりを見せた。そして、重苦しそうに言葉を紡ぐ。


「あぁ、そういうことか。・・・まず不快ということはない。これは信じて欲しい。で、彼と私達が親戚かもしれないということだがね」


「答えを知れば、もはやただで返すわけにはいかなくなる。・・・と言いたいところだが、杖をクレント族が使ったことを知ってしまった以上変わらないか。・・・ついてくるといい」


そう言ってレイオットに案内されたのは屋敷の内装とは似ても似つかない薄汚れたうす暗い地下室だった。レインは地下にいい思い出がないのだろう、少し表情をゆがめている。しかしながら鼠等が出たりしないように最低限の手入れはなされているように感じる。

うす暗い地下を歩き続けてしばらくしたのち、厳重な警戒がされた扉の前に立ち止まった。


「こちらだ。入られるといい」


扉を開けると、そこには10名ほどのクレント族が居た。彼らはここで暮らしているのであろう。全員が座っても余裕のあるテーブルに子供のクレント族のための玩具まで置いてあった。彼らは心なしかレイオットの面影を感じる顔立ちをしていた。部屋を進み奥まで行くと地下に似つかわしくない大きな木の下で老婆が静かに座っていた。


「さて、では私たちバーンズ家の・・・マグナの貴族の秘密をお話しましょう。よろしいですね?母上」


レイオットが母上と呼んだ老婆が髪は年でしろくなってこそいるが、眼はレインと同じく深紅であった。

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