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1話 旅立ち

魔王城近辺 人類最果ての町


勇者一行から離れ、最果ての町へと帰ってきたが、。魔王城に向かったころにはまだ人も残っていたが、既に全員逃げてしまったらしく、そこらかしこに乱雑に散らかった荷物が住民たちの慌てようを表していた。


この町から離れるにしても物資が欲しい。探索を続けていると、誰もいないはずの民家から音がした。目を向けると乱雑に積まれた俵の隙間から私を見る一対の赤い目と目が合った。以前聖女(シルヴィア)が教えてくれたこの世界で被差別的地位にあるクレント族の特徴であった。

彼等は魔族、魔王の一族と同様の深紅の目の色であり、さらに大陸でもっとも信仰されている宗教【大陸教】において不吉とされている青色の髪を持っており高い魔力を有してるため、魔族と呼ばれ差別されたいたのだ。


見るからに瘦せこけた体に痣だらけの腕など虐待を受けてきたことがはっきりと分かる。奴隷であったのだろう。奴隷の証の首輪がされているうえ、表情からは生気が感じ取れない。周囲を見ても主人らしい姿は見えないため置いて行かれてしまったのだろう。ただでさえ食料や水はほとんど無いし、もう一人連れて旅に出る余裕はないのだ。若干申し訳なく思いながら民家の前を通り過ぎようとした時、勇者一行との旅でクレント族に一度だけ遭遇したことがあったことを思い出す。

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勇者一行 


魔王軍の幹部との闘いを終えて、つかの間の休憩をとっていたところだった。森の中からボロボロの少年が、作っていた飯の匂いに誘われたのだろう。こちらによって来たが、よく見たら足から血を流している。聖女(シルヴィア)は傷ついた子供を放置することが出来なかったのだろう。回復魔法を彼にかけてあげた。

最初は驚いたのか暴れようとした少年だが、怪我を治してもらっていることに気づいたのだろう。途中からおとなしく座っていた。


『・・・おいシルヴィアこいつクレント族だぞ、、、放っておけ』


『可哀そうだけど・・・大陸教から目をつけられたら魔王討伐の資金繰りにも苦労することになるし、どこで誰が見てるか分からないんだからさ、離れよ?』


戦士と魔法使いがシルヴィアに彼から離れるように忠告する。私からしてみれば同じ人間なのに。


『私は、彼らが魔族だなんて思えませんよ・・・こんなこと言えば教会に怒られるので大っぴらには言えませんが・・・目の色が違うだけで彼らも人間ですよ』


そう言うと戦士と魔法使いは驚いたような顔をしていたが、シルヴィアはその後何も言わず傷ついたクレント族の少年を治療してあげていた。彼は足の怪我が治ったとたん大急ぎで森に逃げていった。礼も言わずに逃げるなんてと戦士は言っていたが、シルヴィアは笑っていたし魔法使いも心なしか嬉しそうであった。


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・・・一緒に来るか?


きっと主人に置いて行かれてしまい行く当てもないのだろう。私はそっと彼の前にしゃがみ乗りやすいように体を差し出した。シルヴィアが私の立場にあればきっとこうするだろう。・・・何よりシルヴィアが言っていた人助けにはきっとクレント族も人として含まれているのだろう。そう思うと助けてやりたいという気持ちがわいてくる。


不思議そうに背中に乗ってくる少年、もし本当に魔王が生きているのであればこの町が危ないのは間違いない。この町で物資を探しても二人が生き延びるだけの食料は探せないだろう。もっとも近場にある大きな町へ向かうため、過去の旅路の記憶を頼りに思い出す。



この世界は大きな一つの大陸と周辺の海で構成されている。まず、この最果ての町や魔王城があったのが大陸の北端であり、極寒であるため人が多く住むことは出来ず小さな国があったが、魔王が滅ぼし現在は最果ての町と魔王城があるだけである。


周辺には魔法使いの出身国で大陸北部にある魔法研究がもっとも進んだ国マグナ魔法王国、通称法国が最も近場の国であり、私たちもこの国を目指すことになるだろう。


大陸東部には勇者の出身国であり、もっとも人類の人口が多い勇者たちが出発したイズモ帝国


大陸西部に戦士の出身国であり農業や林業が盛んで20の小国からなるヴォルガ連邦


大陸南部。この大陸のほぼ反対側には聖女の出身国であり、この大陸でもっとも信仰される大陸教の総本山を都とする教国が存在する。


この四大国とその他小国が乱立しているのがこの大陸の図だ。とりあえず最も近場に位置する魔法使いの出身国である法国、そのなかで最も近い要塞都市バルトス、そこであれば一度法国からここまで向かってきた道を引き返すだけであり迷うことも少ないだろう。要塞都市バルトスを目指して一匹と一人の旅は始まるのだった。

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