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「わー!」
ガヤオは、呪文で疲労困憊しているマリラックに肩を貸し、石舞台から飛び下りた。
2匹の怪物が、その直後に落下する。
砂煙を上げ、闇球体とワイバーンは互いに攻撃し合った。
「す、すげー!」
ガヤオは固唾を呑んで、戦いを見守る。
下手に介入すれば、マリラックの呼んだ魔物を傷つけてしまうからだ。
ここは様子見だった。
マリラックは魔力を使い果たしたのか、両眼の下に隈を浮かべ、肩で息をしている。
「大丈夫か?」
「ああ、これも慣れっこさ。心配せずとも、私は運は良い。まだ死なないよ」
マリラックが、シニカルに笑った。
2人は魔獣たちの対決に視線を戻す。
2匹の怪物は相手に致命の一撃を与えようと絡まり合っていたが、ついに勝敗が決した。
ワイバーンは力尽きて倒れ、黒い球体が徐々に姿を消していく。
「上手くいったな。ガヤオのお陰だ」
「いや、俺は何もしてないぞ!」
マリラックの感謝に、ガヤオは首を横に振った。
「ガヤオが居なければ、危なかった」
「んー、そう? まあ、いいけど」
釈然とはしないうちに、身体が半透明になってきた。
「お! 帰れるみたいだ」
「そうか。では、お別れだな」
「俺が居なくなって平気か? また敵の魔法使いが魔物を呼ぶんじゃ?」
「奴も、そう連続で召喚は出来ない。この後、仲間のサンクラムと合流する手筈だから、安心してくれ」
「それなら良かった。じゃあ、さよなら、マリラック」
「さよなら、ガヤオ」
笑顔の彼が消え、元の世界に戻った。
「あ! ガヤオさん!」
ネココが振り向く。
「今すぐ、中ボス戦ッス! 頑張るッスよ!」
「いや、何もしてないけど、すっごい気疲れしてるから! 休憩、プリーズ!」
こうしてガヤオとネココは、今日もカルナディアの平和を守っている。
おわり
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