0030 新しい生活
ミノタウロス討伐から1ヶ月がたち、異世界から来た4人も日本での生活に慣れてきた。
この1ヶ月、世界間の境界も安定していたのか、モンスターが出現することはなく、日常生活に焦点を当てて奮闘する4人の姿が見れた。
クリスは耳を隠しながら街を歩いていたら、そのあまりのイケメンさに芸能事務所からのスカウトが何件も来た。
街にいるスカウトマン全員から勧誘されたんじゃないか思うほどだったけど、エルフであることがバレてしまうことを警戒して、宣材写真は撮らせていないそうだ。
少なくとも、現段階ではまだ。
ちなみに、耳を隠すために帽子を深く被っていたとしても、オールバックだけはワックスとスプレーで完璧に維持していた。
シエナも同様に、美人すぎて多くのスカウトをもらった。
彼女は普通の人間なので別にいいように思えたものの、芸能界には一切興味がないらしい。
それに、シエナが芸能人として有名になりすぎたら、デートにも行きにくいからな。
ランランはオレの実家にこもって猫のような生活をしていた。
好きな時間に寝て、好きな時間に起きる。
テレビにハマり、美味しい食べ物にハマる。そして、オレに甘える。そんな生活だ。
文句を言ったのはジャックくらいで、オレや母さん、姉さんは癒し的な存在として大切にしていた。
ジャックはずっと魔術実験と筋トレ。
服で機械の体を隠せば外に出れそうだったが、好んで出ることはない。
この世界とボケリア王国を繋ぐポータルを作ろうと、毎日奮闘しているらしい。
それは相当難しいというか、不可能への挑戦みたいなものらしいけど、ジャックなら絶対にやり遂げるだろうと信じている。
そして今日は、新しい本拠地のお披露目だ。
政府がオレの実家の真下、つまりは地下に巨大な空間を作ってくれた。クリスの命名でレジェンド・オブ・イレギュラーズ2となった秘密の要塞は、初代よりも狭いものの、最新のテクノロジーが揃った快適な空間となった。
生活の支援や施設の維持費も、全て政府が負担してくれる。
超次元的脅威への対抗手段がオレたちだけであることを考えれば、その待遇に納得できなくもない。
「住む世界は変わったけど、イレギュラーズ全員がいれば、そんなに大きな違いはないね」
新たなグランドホールで、クリスが微笑みながら言った。
ここにはイレギュラーズ全員が集まっていた。
「でも、新しいメンバーも増えましたよ~」
オレの膝の上で、ランランが手を挙げながら発言する。全員がオレの姉さん、秋菜の方を見た。
「マネージャーだ。正式なメンバーではない」
「ジャック、その言い方はないだろ」
姉さんは大学に通いながら、イレギュラーズのマネージャーになることを決めた。
とはいえ、まだ特に仕事はないんだけど。
椅子の人みたいな役割をやってもらいたいなと思っている。姉さんは理系でコンピューターが得意なので、しっかり務まりそうだ。
「またアキラ君に会えてよかった」
唐突に、恋人のシエナが照れくさいことを言う。
1週間もの間、オレと二度と会えないかもしれないという現実と向き合っていたシエナたち。
3年もの間、弟の死に縛られていた姉さん。
オレはやっぱりアホな男だ。
今後はこんな無責任なことはしない。誰も悲しませたりはしない。
オレは姉さんの弟であり、母さんの息子であり、イレギュラーズの一員だ。
どんな世界に行こうとも、それだけは変わらない。
《キャラクター紹介》
・名前:アキラ(秋羅)
・年齢:19歳
・種族:ヒューマン
・身長:165cm
・容姿:前髪を下ろした黒髪、焦げ茶色の瞳
影分身のできない忍者。16歳で死に、そのまま運命の女神によって異世界に送り込まれた。
忍者なのに隠れるのは苦手。
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監督:エース皇命
原作:エース皇命
『帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する』
※アルファポリス連載
製作:イレギュラーズ
Irregulars will return
(イレギュラーズは帰ってくる)




