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オレの勇者パーティは全員アホだが強すぎる。  作者: エース皇命
第5章 オレがアホすぎて

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0027 イレギュラーズ再集結

 アキラが消息を絶って1週間が経過した。


 異世界に行ってしまったかもしれないという考察を聞いても、クリスたちは諦めず捜索活動を続けている。

 しかし、どこを捜しても手掛かりなどないため、少しずつ希望を失いかけていた。


「異世界にアキラの反応があった。ポータルを開くから今から行く」


 そんな憂鬱なイレギュラーズの雰囲気を、一瞬にして変えたのは、ジャックの一言だった。


 この1週間、自分の部屋にこもり、食事もせずに爆発音ばかり鳴らしていたかと思うと、急にグランドホールに現れて、アキラに会いに行くと言い出したのだ。


「本当にアキラ君に会えるの?」


「次元の間を移動するポータルだ。その術式は不完全なのもので、二度とこの世界に戻ってくることができないかもしれない」


 ジャックは異世界間を移動することの危険性について、全員がわかるように説明し始めた。


「オレが使う空間転移魔術はアキラに対して反応するものだ。対象がいる空間にポータルを開き、一度の転移を可能にする」


「アキラがどこにいるにしろ、そのポータルはアキラのいるところに必ず開く。そういうことかい?」


「そうだ。仮に異世界にポータルが開いた場合、不完全な術式は展開を中断し、戻れなくなる可能性が高い」


「たとえそうだとしても、僕は行くよ」


 クリスに迷いはなかった。

 この世界にはイレギュラーズが必要だ。王都を守る存在としてこの勇者パーティが存在しているからこそ、ここ数年でボケリア王国はかつてない黄金時代を迎えることができている。


 しかし、イレギュラーズにはアキラが必要だった。

 その方が遥かに優先されるべきものだ。


 クリスの決意を聞くと、ジャックはわかっていたというように頷き、他の2人を見る。


「わたしも行く」


「あたしをおいていなかないでください~」


 こうして、4人全員の意見が揃った。


 あとはポータルを開くだけだ。


「この世界との別れを告げなくてもいいのか?」


「覚悟はできている。それに、ジャックならこの世界に戻る方法も考えてくれると信じているからね」


「それは過剰評価だ」


 ジャックにしては珍しく、自分を下げる発言をする。

 本当に可能性が低いということだ。クリスはその様子を見て、アキラの世界で暮らす覚悟を固めた。


 揺るがない3人の決意を知り、ジャックが呪文を唱え始める。


 グランドホールが揺れ、本拠地(ホーム)全体から照明が消えた。異様な雰囲気に包まれながら、彼らの中央にポータルが出現していく。


「飛び込め」


 最初に飛び込んだのはクリス。

 その次にシエナ、ランラン。不安定なポータルの暴走を抑えながら、最後にジャックが入った。


 そしてそのポータルは、最初から存在しなかったかのように、ポンッと空間から消えた。




 ***




 目を開けた時には、2人の美女に押し倒されていた。

 シエナとランランだ。


 猫がマーキングするみたいにオレの体に頭をこすりつけるランランに、ほっとしたように力を抜きながら、全身をオレに預けるシエナ。


 まだ別れて1日もたってないと思うけどな。

 とはいえ、二度と会えないと思っていたから、もちろん会えてほっとした。


「1週間ぶりだね、アキラ」


「お前の世界は変わってるな」


 後ろではクリスが笑顔で立っていて、ジャックがこの世界を観察している。


 オレはクリスが放った一言が気になった。


「1週間? あっちでは1週間もたってたってことか?」


「世界と世界で時間の流れは異なる。当然だ」


「オレにとっては体感3時間くらいなんだけどな」


「俺たちに会えなくて寂しくなかったのか?」


「そりゃあ寂しかったけど……でも3時間だしな……」


「酷いよ、アキラ君。ジャック君なんてポータルを開くために1週間何も食べずに部屋にこもってたんだよ」


 シエナにそこまで言われてしまうと、自分が最低最悪の奴に思えてくる。


 ついさっき自分の無責任さに呆れたばかりなのに。

 でもそれより――。


「ジャック、やっぱりオレのこと大好きなんだな! ツンデレは可愛い――」


「指パッチン・ダイナ――」


「ごめんごめん! 頼むからここを吹き飛ばさないでくれ!」


 オレの部屋で大爆発が起これば、横浜の住民は全員死ぬ。


 いや、ジャックの魔術は攻撃対象(ターゲット)にだけ作用するから、この場合はオレだけが死ぬのか。この世界で二度目の死になるな。

 勘弁してくれ。


秋羅(あきら)……この人たちが、イレギュラーズの仲間ってことよね?」


 危うく存在感が消えかけていた姉さんが、ここで発言する隙を得た。


 いきなり超常現象が起こったことに関して、驚きつつも受け入れてはいるらしい。オレの言葉を信じてくれていたことのなによりの証拠だ。


 そしてここで、4人の仲間(メンバー)が姉さんの存在に気づく。


「アキラ君? もしかして、この人は……この世界での恋人……?」


 シエナの綺麗な緑の瞳の奥が死んでいる。

 光を反射せず、闇に包まれた瞳だった。これはトラウマになりそう。


 元カノに遭遇した今カノみたいな雰囲気だけど、姉さんがきちんと説明すれば、問題は丸く収まるはず。


 というか、ここで気づいたけど、イレギュラーズのみんなは日本語を話していた。自動翻訳システムみたいな概念が存在しているんだろうか。まあ言葉が通じるなら細かいことはどうでもいい。


「ということは、あなたがシエナ? 秋羅の彼女の?」


「婚約者ですけど」


 いつの間にか関係がグレードアップしていた。婚約とかした覚えはない。


「秋羅から聞いてた話と違う。私は秋羅の最愛の(・・・)姉」


「お姉さん? ……はじめまして。アキラ君とお付き合いさせていただいてる、シエナです」


 急に態度を変え始めたけど。

 シエナってこういう時は積極的なんだよな。


 恋人になってからというもの、シエナの愛はどんどん大きくなっていっている。嬉しいことではあるけど、勝手に婚約者にするのは話が違う。

 まあいいけど。


「アキラさん、お姉さんがいたんですね~。にゃー」


 なんかランランが姉さんに甘え始めた。


 くんくんと匂いをかぐと、そのまま姉さんの膝の中にくるりと収まってしまう。その可愛らしい様子をじっと見つめていた姉さんは、癒されたのかランランを殴ることはしなかった。


 やっぱりランランみたいな癒し系女子はどの世界にも必要だ。

 この修羅場を救ったのは自由気ままな猫ちゃんだった。


「みんな、ありがとな。オレのためにここまでしてくれて」


 ジャックの爆破未遂やシエナと姉さんのバチバチがあったせいで、1番肝心なことを忘れるとこだった。


 4人はオレを連れ戻しにきてくれたのだ。

 イレギュラーズもやっぱり家族で――。


「当然のことだ。それに、もうあの世界には戻れない。この世界で暮らすことになった」


 ジャックが今、ものすごいことを言った。


「今、もう戻れないって言った?」


「戻りたかったのか? 残念だが、今回ここにポータルを開けたのは奇跡のようなものだ。ここに新たな拠点を構える」


「その覚悟でここまで来たんだよ。あの世界を選ぶか、アキラを選ぶか。答えは簡単だ」


 すごく感動的なことを言ってくれているのはわかるし、ありがたい。


 でもそれは、今後、オレの目の前にいるエルフとサイボーグと猫耳少女が、この現代日本で生活していかなければならないということを示していた。

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