領地に籠もります
「そういえばシルビア宛にもお見合いの話が来ていたが……」
「え、私にもっ!?」
「あぁ、国内外から来ている」
ちょっと待って、国内ならともかくとして国外から?
「それってもしかして……」
「帝国からだ、どうやら今回の件は帝国に筒抜けみたいだな」
ちょっと目眩がした。
何も事情を知らなかったら多分考えていたかもしれない、あくまで『考えるだけ』だけど。
ただ魅了薬の件があるしこのタイミングでのお見合い、明らかに胡散臭い。
「まぁ『今、傷心中なので今後の事はまだ考えられない』と断っておいたよ」
「お父様ありがとうございます」
「なに、私も断る口実が出来たよ。 それでシルビア、これからの事なんだが暫く領地に籠もっていた方が良い、と思うんだ」
「それは社交の場に出なくても良い、という事ですか」
「あぁ、帝国が何を考えているのか見当もつかないからし余り目立たない方が良いだろう、それに今まで忙しくて領地に戻ってないだろ? ゆっくりと羽を伸ばした方が良い」
そういえば、婚約者になってから領地に戻って無いな……。
私の故郷であるクラッセ領は自然豊かな所である。
幼い頃は野山で遊び回り川で水遊びや魚釣りをした。
……思い出したら急に行きたくなってきた。
「わかりました、暫く領地に行ってまいります」
「うん、私は王都に残るが定期的に連絡を取るから」
「えぇ、無理はなさらないでくだらないね」
「シルビアもな」
翌日、私は領地に向かった。