学院での報告
更に1か月が経過し漸く普通に生活出来る様になった。
今日は久しぶりにお父様と一緒に貴族学院に行く日だ、と言っても復学する訳では無い。
既に卒業単位は取得しているので一足先に貴族学院を卒業させてもらう事にした。
なので、今日が最後の通学となる。
馬車を降りて歩いているが生徒の姿は無い。
それもその筈で現在学院は休校中らしい。
原因はやはり私の転落事故でその原因究明と関わった者達の処分に時間をかけているらしい。
その調査結果は後日公表する事になっているそうだ。
「変に隠蔽して後でバレたらダメージは大きいからな、一時の批判はあるだろうが最低限に抑える事は出来るだろう」
「お父様が圧をかけた訳ではありませんよね?」
「私は誠心誠意の対応をお願いしただけだぞ」
それが圧になってるんですよ……。
校舎に入ると先生が待っていたが私の姿に驚いていた。
「えーと……、シルビア・クラッセ公爵令嬢ですか?」
「はい、そうですが」
「そ、そうでしたか……、学院長がお待ちしてますのでどうぞ」
明らかに動揺してるな。
「私、そんなに変わりましたか?」
「あぁ、髪型からメイクまで全部変わったからな」
私とお父様は小声でコソコソと話していた。
縦巻きロールは止めストレートにして派手でキツめのメイクもナチュラルに変更した。
服装も綺羅びやかなドレスでは無くシンプルなワンピースにした。
廊下を歩き学院長室に入ると学院長が待っていた。
「シルビア嬢、お体の調子はどうかね?」
「はい、おかげさまでこの通り元気になりました」
「それはよかった、今回の件は学院長である私の監督不行届でもある、本当に申し訳無い」
そう言って学院長は頭を下げてくれた。
「学院長、貴方は悪くない。 悪いのは変な噂を真に受けた者達だ。 調査と処分の方はどうなったのかね?」
「学院内にある監視魔法、また聞き取り調査の結果をまとめたのがこちらの報告書です」
報告書と共に私とお父様は学院長の説明を受けた。
私を階段から突き落としたのはカルモンド様の取り巻きの1人である、騎士団長の息子だそうだ。
理由はやはり私の悪い噂を真に受けてカルモンド様と男爵令嬢の為にやったそうだ。
報告を受けた騎士団長は大激怒して息子をボコボコにしたそうだ。
「当該生徒は退学処分としました……。 学院内での暴力沙汰は御法度ですから」
「騎士団長からも謝罪を受けました、ご子息は勘当され辺境に追放したそうですな」
そして私の悪い噂を流していたのはカルモンド様とその取り巻きだったそうで、そちらも学院から停学処分を受けたらしいけど、各家から自主退学届が出されたらしい。
貴族学院を退学する事は貴族社会には出れない事を意味するので各家で厳しい処分が待っているみたいだ。
で、元凶とも言うべきなのが例の男爵令嬢だけど、彼女に関してもとんでもない事実がわかった。
彼女は魅了薬を使用しカルモンド様を始めとした有力貴族をおとした事が発覚した。
「魅了薬て禁止薬の1つですよね、我が国では生産も許されていない筈では?」
「どうやら他国から裏ルートを使い手に入れたようです。 本人は『お父様から渡された』と言っていますが」
という事は黒幕は男爵、でもなんで魅了薬なんて手を出したんだろう。
「もしかして、男爵は他国のスパイという可能性は?」
「それも含めて騎士団が捜査しているそうです、まぁどの道にしても男爵家はお取り潰し、一族は処刑という事になります」
う〜ん、余り後味が良くない。