6. 謎の手帳
ユウキはその夜、部屋に閉じこもり、父が残した手帳を手に取っていた。父の文字が一つ一つ目に飛び込むたびに、胸の奥で何かがざわめく。手帳には、数ヶ月にわたるリュウゼン星系に関する記録が残されていたが、どこかの部分から奇妙な内容が現れ始める。
「リュウゼン星系、異常…」
ユウキはその文字を繰り返し目で追う。手帳の中で最も目を引いたのは、数週間前の日付に書かれた警告の言葉だった。「この星系に近づく者に危険が迫る」という内容に、ユウキは思わず息を呑んだ。それはただの警告ではない。父が言っていた「星々を越える」という言葉とリンクするような予感がした。
「父さん、何があったんだ…?」
その記録には、リュウゼン星系の異常を研究するために、父が何度も観察を続けていたことが記されていた。しかし、途中でその記録は途絶え、最後に書かれた文字はただ一言、「危険」とだけ記されていた。ユウキはそのページをじっと見つめ、震える手でページをめくった。
次のページにはさらに詳細な情報があった。リュウゼン星系に隠された古代の遺物についての言及だ。その遺物には、星々を操る力が秘められているという記録があり、父はそれを追っていたことがわかった。しかし、最後のページには驚くべきことが書かれていた。
「異星の者が接触を求めている。」
その一行が、ユウキを凍りつかせた。異星の者? それは、父が関わっていた問題がただの天文研究にとどまらないことを示していた。父が追っていた星々の力、そして異星の存在。それは、ユウキがこれまで想像すらしていなかった世界の扉を開けるような内容だった。
ユウキはそのページをじっと見つめながら、心の中で思った。
「これが父が追い求めていた真実だったのか。」
手帳を閉じ、ユウキは深い思考にふける。母が何も言わなかった理由、父の失踪の背景に何があったのか、そのすべてが急に繋がったような気がした。しかし、疑問は尽きない。異星の者とは何者なのか、リュウゼン星系の遺物が何を意味しているのか、そして父は何を見つけてしまったのか。
ユウキは決意を新たにした。父の行方を追い、そしてその真実を明らかにしなければならない。この手帳が示す方向に進むことで、ユウキはきっと父の謎を解くことができると確信していた。
彼は再び窓の外に目を向けた。夜空に輝く星々が、今まで以上に遠く、そして神秘的に感じられた。それらの星々が、父が追い求めていた謎の一部を握っているのだと、ユウキは強く感じていた。
そして、決意を胸に、ユウキは眠りにつく。だが、眠りの中でも、彼の頭の中では父の言葉と手帳の内容が渦巻いていた。




