4. 星々の秘密に触れる
その晩、ユウキは部屋の窓を開けて、静かな夜空を見上げていた。暗い空に散りばめられた無数の星々が、まるで自分に語りかけてくるように輝いている。リュウゼン星系の夜空には、特別な光を放つ星があり、ユウキはその星を毎晩のように見つめていた。
父が言った言葉が、また頭の中で響く。
「いつか、あの星々を越えていくんだ。」
あの時、ユウキは父が単に夢を語っているだけだと思っていた。しかし、今はその言葉が意味するものを、少しずつ感じ取っていた。父がどんな想いでその星々を見上げていたのか、その視線の先に何があったのか。ユウキは胸の奥で、父が語った未来を見つめる気がしていた。
ユウキはゆっくりと深呼吸をし、目を閉じてみる。夜の静けさと、無数の星の輝きが心に広がっていく。そんな中で、ふと手元に目をやると、父が遺したペンダントが机の上に置かれているのが見えた。
あのペンダントには、リュウゼン星の形を模した星のシンボルが刻まれている。ユウキはそのペンダントを手に取り、じっと見つめた。星型のシンボルは、まるで光を放つように微かに輝いているように見える。
「お父さん…このペンダント、ただの装飾じゃないよね。」
ユウキはそのペンダントを手に取ると、ふと気づいた。表面に隠された細かい刻みがあることに。まるで何かを指し示すように、星のシンボルの周りには、微細な線が描かれていた。それらの線は、ただの装飾ではなく、何か意味を持っているような気がした。
ユウキは急いで手帳を取り出し、ペンダントを照らしながら、父の記録を再度見返してみる。手帳のページをめくると、リュウゼン星系に関する記録がいくつも書かれていたが、次第にそれらが意味深い言葉に繋がっていく。
「リュウゼン星の位置が不安定…航路が急激に変動している。」
ユウキはその記録を見て、さらに混乱した。リュウゼン星系の異常な動き、そして父がその異常を警戒していたことを知ったからだ。父は、リュウゼン星系に何かが潜んでいると記していた。だが、それが何なのかは明確には書かれていなかった。
そのとき、ユウキの心の中で何かが弾けたような感覚が広がった。父が行方不明になる直前、リュウゼン星系に何かが起こり、それが父の失踪に関わっているのだと直感的に感じた。
「リュウゼン星系…それが、父の行方に繋がる鍵なんだ。」
ユウキは、ペンダントを手に取りながら深く息をつく。星々の秘密が、確実に自分の手に引き寄せられていると感じた。そして、その秘密が何であれ、ユウキは解き明かさなければならないと、改めて決意した。
「絶対に、父を見つける。」
ユウキは再び夜空に視線を向け、静かに呟いた。遠く、光り輝く星々の中に、父がいるような気がした。そして、彼自身もその星々の中に手を伸ばし、未知なる冒険へと踏み出す準備が整ったのだった。