36. 目覚めの光
——まばゆい光の中で、ユウキはゆっくりと目を覚ました。
「……ここは?」
辺りを見渡すと、そこは今までいた世界とはまるで異なっていた。広大な空間が広がり、地面は透き通るような青い光を放っている。天井も壁もない。ただ、無数の星々が輝く夜空が広がるのみ。だが、それはただの星空ではなく、一つ一つの星がまるで意志を持つかのように光を放ち、ユウキの周囲を包み込んでいた。
「ついに、ここまで来たね。」
ふと、聞き慣れた声が響く。振り返ると、そこにはアリスが立っていた。
「アリス……。」
彼女の姿はこれまでと変わらない。しかし、その瞳はどこか神秘的な光を帯びていた。そして、彼女の背後にある光の渦が、ゆっくりと形を変えていく。
「君が乗り越えてきた試練、そのすべてが、この場所に導いたの。」
アリスは静かに言った。
「ここは……一体?」
ユウキの問いに、アリスは少し寂しげな笑みを浮かべた。
「星々の記憶が眠る場所。そして、君の最後の試練が待つ場所よ。」
その言葉に、ユウキは息を呑んだ。
——最後の試練。
今までの戦い、仲間との出会い、数々の困難を乗り越えてきた。そのすべてがこの場所に繋がっていたというのか。
「……ここで、僕は何をすればいいんだ?」
ユウキは真剣な表情でアリスを見つめた。すると、彼女はそっと手を差し伸べた。
「この扉を開けば、君はすべてを知ることになる。」
ユウキの目の前に、突然大きな扉が現れた。それは、今までのどの扉とも違い、白銀の光を帯び、まるで生きているかのように鼓動していた。
「この扉の先に……?」
「ええ。真実が待っているわ。」
アリスは優しく微笑む。だが、その微笑みの裏に何かを隠しているような気がして、ユウキは胸の奥に不安を覚えた。
——この扉を開けた先にあるもの。それは、きっと自分にとって避けられない運命なのだろう。
ユウキは深呼吸し、覚悟を決めた。
「……行くよ。」
扉の取っ手に手をかける。冷たい感触が伝わり、ほんのわずかに震える指先。それでも、彼は迷わなかった。
ゆっくりと、扉が開かれていく。
その先に広がるのは—— ユウキの運命を決める、最後の真実だった。




