29. 星の島の入り口
ユウキは、遠くに見える光の点々がまるで道標のように感じられるのを見て、胸が高鳴るのを抑えきれなかった。それは、ついに辿り着いた場所、星の島への入り口だった。遠くに輝く星々が、まるで彼を迎えるかのように瞬き、導いてくれているようだった。
「こんな場所が本当にあったんだな…」ユウキは呟き、手を伸ばす。
ナナは横で、彼の言葉に続けるように呟く。「これが、星々が繋がる場所。何か、すごく大きな運命を感じるよ。」
二人は、星の島に足を踏み入れる前に少し立ち止まり、周囲を見渡した。薄明かりの中で、島の入り口がまるで異世界への扉のように浮かび上がっている。入り口の前には不安定な光の膜が揺れ動いており、それを通り抜けることで初めて本当に島に到達することができるという。
ユウキは深呼吸をして、一歩踏み出す。その瞬間、光が彼の周りに強く包み込んだ。まるで時空を越えるような、何とも言えない感覚に襲われる。
「ユウキ、気をつけて!」ナナが警告する声がかすかに聞こえたが、ユウキはすでに光の中に飲み込まれつつあった。
―――
目の前が真っ白になり、次に見えたのは深い闇に包まれた空間だった。星々が浮かんでいるが、その光はどこか歪んでいて、まるで異次元の世界に迷い込んだかのようだ。
「ここは…どこだ?」ユウキは周囲を見渡すが、ナナの姿が見当たらない。慌てて周りを走り回ってみるが、誰の姿もない。足元の星の光だけが、彼に道を示している。
「ナナ、どこだ!?」声を上げて呼びかけるが、答えは返ってこない。
そのとき、彼の目の前に一つの星が流れ星のように近づいてきた。その星は静かに輝きながら、ゆっくりとユウキの前に止まる。ユウキがその星を見つめると、心の奥から何かが響いてきた。
それは言葉ではなく、感覚だった。約束、希望、そして何よりも「絆」。ユウキはその感覚を受け止め、胸に手を当てて深く息をついた。
「きっと…俺はここで何かを見つけるんだ。」
ユウキは決意を新たにし、再び星々の光が導く道を歩き始める。その先に待つ試練が何であれ、彼は乗り越えてみせると誓って。




