27. 迫る影
星の島への道のりが近づくにつれ、ユウキとナナは次第に緊張を感じていた。二人は、準備を整え、星図を頼りに進むが、周囲の空気が次第に変わっていくのを感じ取った。目の前には何もないはずの空間が、少しずつ歪み始めていた。
「何だ、これは…?」ユウキが息を呑んで前を見つめた。
ナナもその異変に気づいたようで、彼女の表情が硬くなる。「気をつけて、ユウキ。これから先、普通の道ではないわ。」
その言葉の瞬間、空間の歪みが急激に広がり、二人はその中に引き込まれるように感じた。目の前が霞み、世界がぼやける中、ユウキは必死に足元を確認した。
「これ、どういうことだ…?」
ナナが力強くユウキの腕を掴み、彼を引き寄せた。「ここは、星の島への道に繋がる場所。けれど、普通の人間には通れない場所でもあるわ。異世界の力が働いている。」
その瞬間、空間の歪みが一層強くなり、ユウキとナナは足元が不安定になる感覚に包まれた。周囲の景色が溶けるように消え、二人はまるで無限の闇に飲み込まれたかのように感じた。
「何だ、これ!?どうして…」ユウキが叫びそうになったが、ナナが必死に口を塞ぐ。
「静かに、声を出さないで…」ナナの声が震えていた。
その時、ユウキの視界に突然、赤い光が現れた。それは、星々のような輝きが集まり、ひとつの巨大な影を作り出していた。影の中から、かすかな声が響いてきた。
「ここに来る者は、試練を受けることになる。」
ユウキはその声に震えながらも、心の中で答えた。「試練…それが、俺たちの運命なのか?」
ナナも無言で頷く。二人の目の前に現れた影が、まるで道しるべのように光を放ちながら、続けて言った。
「お前たちが求めるものは、裏切りの星の真実。だが、そこには必ず犠牲が伴う。星々の力を解き放つ者には、代償が必要だ。」
ユウキはその言葉を深く受け止め、ナナと共に歩みを進める決意を固めた。「俺たちは、この道を進む。たとえどんな犠牲を払おうとも。」
その瞬間、赤い光が強く輝き、二人を包み込んだ。世界が一変し、ユウキとナナは再び、異なる場所に立っていた。星の島への道が、今、開かれたのだ。
だが、彼らが踏み込んだその先には、予想もしない試練が待ち受けていることを、まだ知らなかった。