24. 秘密の扉
ナナが語った「裏切りの星」という言葉がユウキの心に深く残っていた。それは単なる伝説ではなく、何か実際に起こった出来事のようだった。しかし、その詳細は不明なままだ。
「でも、どうしてそんな情報がこの星図に?」ユウキは改めて星図を見つめ、ナナに問いかけた。
ナナは黙っていたが、やがてゆっくりと口を開いた。「それは…私も正確にはわからない。でも、これには重要な秘密が隠されていると感じる。星図の中に、まだ解読されていない部分がある。そこには、この世界の運命を変えるヒントが隠されているかもしれない。」
ユウキはその言葉に強く惹きつけられた。運命を変えるヒント――それが一体、どんな意味を持つのか。もしそれが手に入るなら、ナナと一緒に未来を変える力を持てるのではないか。
「その解読されていない部分って、どうすればわかるんだ?」ユウキは真剣に尋ねた。
ナナはしばらく黙った後、再び星図をじっと見つめた。「私が知っているのは、この星図にもうひとつの隠された 扉 があるということ。だから、この星図を完全に理解するためには、それを開ける鍵を見つけなければならない。」
「扉?」ユウキは驚き、目を大きく開けた。「どうやってその扉を開けるんだ?」
ナナは一瞬、迷うように目を閉じた。そして、静かに答えた。「その扉を開けるには、特定の場所に行く必要がある。その場所は、今の私たちにはとても遠い場所だ。」
ユウキはその言葉に心を打たれた。特定の場所。それがどこで、何が待ち受けているのか、まったく想像もつかない。しかし、ナナが話すその場所に行けば、この星図の秘密が明かされるのだろうか。
「その場所を知っているのか?」ユウキは問いかけると、ナナは微かに頷いた。
「ええ。『星の島』と言われている場所だ。」ナナはゆっくりと言った。その名前を口にするのもためらうように、ナナはもう一度その言葉を繰り返した。「星の島には、古代の星の神殿がある。そこに行けば、星図の真実に近づけるかもしれない。」
ユウキはその言葉にしばらく耳を傾けた。星の島、神殿――それは、まるで伝説のような場所だ。しかし、ナナが真剣に語るその場所に、間違いなく何か重大な秘密が隠されていると感じられた。
「星の島って、どこにあるんだ?」ユウキは思わず尋ねた。
「それが…」ナナはその問いに答えず、手を伸ばして星図をもう一度広げた。「星の島は、星図に隠された道を辿ることでしか見つけられない場所だ。普通の地図には載っていないし、実際にそこへたどり着いた者はほとんどいない。」
ユウキはその答えに驚愕した。普通の地図には載っていない――それは、まるでこの世界に存在しない場所のようにも思える。しかし、ナナが言うように、この星図にはそれを見つけるためのヒントが隠されているとすれば、ユウキはその答えを探さなければならない。
「でも、どうしてそんな場所に行かなければならないんだ?」ユウキは深く問いかける。「星の島がそんなに重要なら、何かが待ち受けているはずだ。君が知っている以上に、何かが――」
ナナはその言葉を途中で遮るように、力強く言った。「それが私が知りたくないことだわ。あそこには、私たちが知らなくてもいいことがある。行けば、私たちの運命が変わるかもしれない。でも、それを受け入れられる覚悟がある?」
ユウキはその問いに答えることができなかった。運命を変えるために、今の自分たちが踏み込んでしまうべき場所なのか――その覚悟を持つことができるのか、ユウキ自身もわからなかった。
だが、目の前に広がる星図とナナの言葉を受けて、ユウキは心の中で決めた。この冒険の先に、彼が信じるべきものがあるのなら、どんな困難にも立ち向かっていくと。
「僕は行くよ。星の島に。」ユウキの言葉は、ナナに向けられた決意の証だった。
ナナはユウキを見つめ、しばらく沈黙していた。だが、やがてゆっくりと頷いた。
「わかった。でも、覚悟しておきなさい。星の島に辿り着くためには、本当の裏切りの星が現れるかもしれない。」
ユウキはその言葉を胸に刻みながら、再び星図を見つめた。その先に待ち受ける未来が、何を意味するのか――それを確かめるために、ユウキは一歩踏み出すことを決意した。




