15.星の円盤
ユウキは机の上に箱を置き、中から金属の円盤を取り出した。
昨夜、あの丘で見つけたもの。
父のノートにはこの円盤について何の説明もなかったが、明らかにただの飾りではない。
「……これは一体……」
直径10センチほどの銀色の円盤は、手のひらにすっぽり収まる大きさだった。表面は滑らかで、文字らしきものも見当たらない。
だが、よく見ると、中心から放射状に広がる細かな溝が刻まれている。まるで、星の軌道のように――。
ユウキは円盤を持ち上げ、デスクライトにかざしてみた。
その瞬間、
「……!」
淡く光る模様が浮かび上がった。
それは、いくつかの点と線が組み合わさったもの。まるで星座のようにも見える。
「これは……星図?」
ユウキは父の手帳を開き、ページをめくる。星の座標や観測データが書かれたページと、円盤の模様を見比べた。
――だが、どの星図とも一致しない。
「どういうことだ……?」
父がこれを残した意味は何なのか。
その答えを知るには、もっと手がかりが必要だった。
(誰かに相談した方がいいか……?)
ユウキの脳裏に、一人の顔が浮かぶ。
――星座に詳しい幼なじみ、ナナ。
(……明日、聞いてみるか)
そう決めたユウキは、円盤をそっと箱に戻した。
窓の外では、昨夜と同じように、星々が不自然なほど強く輝いていた。