表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星空の約束、君と僕の未来  作者: 風月 凜音
第二章:星々のささやき
13/41

13. 見えざる視線

ユウキは足早に丘を下りた。


背後の気配を意識しすぎているのかもしれない。でも、どうしても振り返る気になれなかった。


(誰かがいた……? それとも、ただの風の音?)


手にした箱の重みが、妙に現実感を持って感じられる。ノートと円盤――父が残したもの。きっと、これが何かの鍵になる。


「……早く家に帰ろう」


だが、帰路についた直後、不意に強い視線を感じた。


ピクリと足を止める。


周囲を見回すが、誰もいない。


夕暮れの薄暗さが、あたりを不気味に染め上げていた。


「……っ」


鼓動が速くなる。思わず歩くスピードを上げた。


しかし、数歩進んだところで――


「ユウキ」


突然、背後から名前を呼ばれた。


瞬間、全身の毛が逆立つ。


(今の……誰の声?)


振り向こうとするが、体が動かない。まるで見てはいけないと本能が警告しているようだった。


「……ユウキ……」


もう一度、声が響く。


――父の声だった。


「……父さん?」


震える声で呟いた途端、身体の力が抜けるように動きを取り戻した。勢いよく振り返る。


だが、そこには誰もいなかった。


「……なんなんだよ、これ……」


手のひらに汗が滲んでいる。


ユウキは震える手で鞄を抱え直し、逃げるように家へと駆け出した。


夜空の星が、不気味なほど強く瞬いていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ