11. 星の地図
翌朝、ユウキは眠気を引きずりながら学校へ向かった。
昨夜の不可解な音と、窓に映った影――夢だったのかもしれない。だが、それにしてはあまりにも生々しく、現実感があった。
(何かがおかしい……でも、証拠がない……)
考えを振り払うように、ユウキは鞄の中から父の手帳を取り出した。ページをめくると、ふと、これまで気にも留めなかった星図のページが目に入る。
「リュウゼン星系……?」
手帳の端に、小さな文字で書かれていた。
『この場所に、何かがある。座標を照らし合わせ、確認すること』
リュウゼン星系は、父が研究していた天体の一つだ。だが、そこには何があるというのか。
「星の座標を照らし合わせる……?」
ユウキはスマホで星図アプリを開き、手帳に描かれた星の配置と比較してみた。すると――
(これ……町の北東にある丘の位置と一致してる?)
学校の裏手に広がる小高い丘。普段は人気がなく、夜には静まり返る場所だ。
(まさか……父さん、あそこに何か隠してる?)
可能性は低いかもしれない。でも、試してみる価値はある。
「……放課後、行ってみるか」
ユウキは手帳を閉じ、決意を固めた。
何かが待っている。そう確信しながら――。