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百合小説【第43話】皆さん灯篭祭に本気を出すらしいです

灯篭祭が1週間を切った10月初め、嘉陽田の家で朝を迎えた私たちは堂々と遅刻し階段を上る。


「影井!何やっていたんだ」


「いやぁ…ちょっと…その…」


また生物の教師だ。よく合うなと思いながらもこの場を逃げる訳にはいかず、半歩下がり壁に背中を擦る。


「先生ごめん私が持ってってた」


「嘉陽田またか、あのなぁ」


嘉陽田さんが先生に詰め寄り方向を逆方向に向けた瞬間誰かの手に口抑えられ隠すように階段方向に連れられた。


「ん//」


「しーさっちんこっち」


どうやら相手は西条さんだったらしい。今日はツインテールを下ろしてメイド服を着ている。


「あの先生話長いから」


目をくれる隙もなく下に降りメイドカジノをやる教室に向かった。


「あれ、影井は?」


「さゆりんバテてる」


「そりゃ…走ったらそうなりますよ」


「体力ないねぇ」


「全員がある訳じゃないんで…」


廊下から既に装飾がされている異質な空間に言葉を失った。教室は隣の教室との隔てを無くし、ただでさえ広い空間なのに壁に天井、更には床まで装飾が変わっている。


「見てくれ見てくれ」


「これは…」


中には他学系の男女がメイド服を試着するあまりにも異様な光景が広がる。


「そう、衣装合わせ。メイドカジノのね!どうだい可愛いだろ」


可愛いよりも先に怖いが来るのは私だけだろうか。メイド喫茶と言われようと違和感がないがカジノ用の机がこの部屋の雰囲気を全て持って行った。


「想像以上に凝ってるね…」


「これ大学のお嬢様部に借りてきた」


「それでこんなに」


「あ、影井じゃん」


扉に頭をぶつけないようにと壁のような伏田がメイド服を着ている。パツパツのメイド服から節々に見えるその盛り上がった筋肉と…すね毛。すね毛は流石に剃ったほうがいいと思うのだが。


「ふっ」


「影井まで笑うなよ」


「だって、パツパツじゃないですか」


「これ、1回肩の所破れた。見てこれ」


背中を見せられると、確かに塗ったであろうシワのついた縫い跡がある。よく縫えたよりもよく耐えているなこの生地がの方が先に思った。


「影井にまで笑われるなんて」


「あッ、すね毛…そりなねップフフ…」


「おい待てや」


眼中に入れるといつ笑い倒れるか分からないので伏田に背を向けた時に遠目ながらためいさんと目が合う。


「あ、…為井さん…と」


黒髪を後ろに束ねたいかにも華奢で、女子でも惚れそうな美人な女性が為井くんについて行った。


「司波です」


「司波さん?え?司波さん?」


なんと例の男の娘だった。


「あー。西条さんのお犬さん」


「そういう君は嘉陽田さんの彼女さん」


「影井です」


その容姿からは想像がつかないほど整った顔立ちと…髪、髪こんなに長くなかったはずだが…1度聞いてみたいところだ。彼女どうこうの話はややこしくなりそうなので流しておいた。


「おっ影井はん」


「はんってなんだよ為井」


「声裏返るなって」


「笑うなってお前ら」


「いいじゃん別に、」


「司波さん…髪そんなに長かったでしたっけ?」


「こちらはポニーテールのウィッグでございまして、司波様の髪色に合いますよう、特別に染めさせていただきましたの。」


韓流のようなすらっとした背にメイド服を着た銀髪黒マスクの男性が鼻にかかるような声で上から語りかけてきた。


「ごきげんよう。渋大お嬢様部の亜門と申しますわ。」


「影井です…あっ…とその…」


「色々聞かせていただいてますの。お体の具合はいかがでございますか」


「あ、はい。大丈夫です。」


お嬢様言葉…であろうか…言動や仕草まで品のあるような高嶺の花のような近づきがたさがある。


「為井さん、亜門さんって普段からあんな言葉遣いなんですか?」


「いや、メイド服着るとああいう言葉遣いになるんだって。」


「そうでございますのよ。わたくし、メイド服を着ますと自然と言葉遣いが変わってしまいますの。」


「は、はぁ」


メイド服を外した亜門さんも少し見てみたいものだ。これて勉強ができないヤンキーとかなら唆る位のギャップがあっていいと思う。そんな妄想を膨らませながら何か話しているのを途中から聞き始めた。


「内装は赤を基調といたしました洋風のお部屋で、カジノともメイドとも受け取れるような雰囲気に仕上げてございますの。」


「うち…1学系費用ってどれくらいでしたっけ」


「20万」


これは人数にしては多い方だと思う。ただこれだけのはなやかなのは…予がいくらあっても足りない気がする

「大丈夫でございますわ。内装や外装は、メ〇カリやダ〇ソーを駆使いたしまして、予算の範囲内で最低限に抑えましたのよ。」


「さゆりんがう〇ちゃんの衣装着れば完璧だね」



後ろから西条さんが脅かすように声をかけ司波さんが足を跳ねて面白い反応を見せる。


「ゆり驚かすなよ」


上についてるシャンデリアは一体何?そのカジノ用の机も、チップも光沢の感じからプラスチックのようだし、奥に進めばダーツまである。


「シバどこいってたのよ、やっぱりリードつけた方が」


「本っ当に勘弁してくれここだけは」


「あら、いつもわんわ鳴っ」


もうなんでもいいや。学祭楽しそう。


「一旦メイド服着せようぜ」


言われるがまま何着あるのか不思議なくらいのメイド服の数から1着選び、トイレ前まで先生に見つからないよう忍び足で向かう。レだけ用意があるなら着替える部屋のひとつ用意して欲しいものだと思いながら、和式に入りメイド服に着替える。

とはいえ、一体型なので上から着るものの胸が伸縮しないこのメイド服を破きそうだ。

自慢では無いが、私は胸が人よりも大きい。肩をこるだけではなく、腰も痛めるし、服も選ばないといけない。サラシも一度はやってみたが、それで解決できるほどのものでは無いのがこの脂肪の塊。これを片方ずつずらしてようやく服が着れたものの、背中のファスナーに手を伸ばそうとしても体は硬く、仮に手が届いたとしてもファスナーがギチギチで敗れるような気もする。葛藤の末、手が届いたギリギリのいちまでファスナーを上げ、元々の服で背中を隠しながら教室に戻ることにした。

「おぉ〜!」

黄色い歓声が四方八方から飛ぶが、背中の件をどう伝えればいいか、その前に他のメイド服で私のサイズでいいのが無いか聞かなければ…

「あの…胸きつくて」

「チッ」

「聞こえてますよー西条さーん。あれー?胸が大きいせいでちんちくりんな西条さん見えないなぁ一体どこいったんだろー」

「あ?」

「すみません冗談です。」

「あれー?おっぱい大きくて顔が見えないから誰かわからないなぁその脂肪の塊早く燃焼してくれないかなぁ?」

「あの…本当にきつくて…背中のファスナー閉められなくて。」


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