百合小説【第35話】抜け駆けするなら貞〇帯
『ひとまず、星野が無事でよかったよ。』
『休んでしまって申し訳ないです』
気持ち的に余裕がなく、私は謝ることしか出来なかった。配信の無断キャンセル、音信不通、そして今回の事件の関係者。顔も洗い出されて顔まで特定されてるのかもしれないと思うと、気分が荒む。
『謝らなくてもいいから、星野は決して悪いことはしてない。一連の騒動でとやかく言う輩もいるけれど、無視でいい。気にするな』
気にしない方が無理だよといえる訳もなく、ただ頷くしか無かった。
『これからのことについてだが、今週…そうだな、木曜夜は空いてるか?マネージャーも兼ねて話し合おう。』
『分かりました。』
長電話になると思ったが本の数分足らずで電話が終わった。そんなものだと自分に納得させて、国際の校舎へと歩いていった。国際近くのトイレを通り過ぎる。あのトイレで1人食事をしていたのに、こうも賑やかになったのかと嬉しいような、静かな方がいいような。
「ミ○クジュバババ○めオラァ!」
○め?○めって?へ?高校で聞こえては行けないような文言がゴー○ャスのような声質の音声が漏れている。誰○ませるの?そこじゃないと自分を安心しつつ恐る恐るドア前回の国際の教室から顔をのぞかせる。机は全て後ろに追いやり、教室の前部分を使い、床でかるた…らしきものをしている。
「さっちんおかえり〜やる?百人一首」
「嘉陽田殿、こちらは百人一首ではなく『め○ら百人○○首』交じるか影井殿」
め○ら百人○○首…こんなど下ネタ全開の百人一首を…えぇ…?少し抵抗しかない。というよりなんで先生もどさくさに混ざっているのか…ツッコミ出したらキリがない。
「様子みて…考えます。」
「待ってるね〜あ、先生!」
「やっと1枚取れた…」
騒がしいので教室の外に出ると、トイレ側から西条さんが歩いてきた。
「あ、ルナち…ごめんてさゆりん」
少し不機嫌そうな顔をすると、全て言い終わるまでに耐えてくれた。もう名前は全て言っているのでアウトではある。
「大丈夫そうだった?」
「何とか…」
「ほほう?ならよきかと」
さっきの電話を心配していてくれたのか、怪訝そうな様子でこちらを見ていた。まぁ見ず知らずの人に怒られていたし仕方の無いことだろうけれど。
「学祭話って進展ありました?」
「見ての通りの交流回だよ、にしてもそっちの学系えらいもん持ってんな。バ○童チャンネルでしか見た事ないのに」
国際学系と理数学系の交流会という形で今日の放課後は集まっている。話を聞くと国際と理数が合流後、その中でグループに別れ交流しているそう。他の人は校外に行ったらしい。
「そうなんですね」
教室前の廊下で2人窓ガラスを開けて外を眺める。後ろからは怒涛の下ネタが聞こえて考え事も一切できないほどに気がやられていた。
「帰りたい」
「駆け落ち可ですぞ」
「言い方に語弊があります」
駆け落ちなんて言い方、私と西条さんがいけない関係になるような気すら感じる。
「嘉陽田さん?」
「別にそんな関係じゃ」
「最近よく手繋いでるらしいねぇ校内で噂だよ?」
西条さんのペースになり、わざとらしく小柄な体をぶつけに来る。何かいじるような目線でこちらに詰め寄り端に追いやられた。
「いい…じゃ…なぃ…で」
「困ってんねぇ可愛ぇのぉ」
「…」
私を囲うように壁に手を置いて、頬に手を添えてきた。
「からかうの…だ…」
手を胸元に置いて視線を逸らすように外を見る。
「ちょっとゆっちん!抜け駆けはなしだよ」
嘉陽田さんがこちらに近づいて、今度は嘉陽田さんが囲ってきた。西条さんの手の甲に重ねるように置いて引き剥がすように西条さんを引っ張った。
「出たな金髪巨神兵」
「んだァ初音○ク見てぇな髪色しやがって○むぞ」
「んだとてめぇ貞○帯付けててめぇの○○○ほっぽってやるよ。」
「あ、あぁ…うぅ」
仲良くは、学系内からかもしれない。




