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百合小説【第3話】私も一緒に行ってもいい?

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ドッドッドッドッドッドっドトトトット

スマホをしまい足早に実験室に向かうと、床を蹴る音が走った後の脈よりも早く近づいてきた。

「さっちーーーーーー」

「あ、嘉陽田さん」

「ちょっ・・・っとギブ……肩貸して」

走り疲れたのか、私の右肩に寄りかかる。

学系は言っていないはずだが、なぜ居場所がわかったのだろうか。

「なんでわかったんです?」

「愛だよ」

出会って半日で愛を持ち出された、冗談だとしても尻軽女だと思ってしまったことを恥じる。女性同士のスキンシップとはとはこういうものなのか?不思議ちゃんとは言えない程人に執着があるのか、それとも万人に対してそうなのかは分からない。

「これ私の漁っていいから…私のバック」

バックを前に持ってきて、漁るように促す。ペンケースが欲しいだけなのに何か別の魂胆がある気がする。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ぷぇー」

手を出さないと、ふてぶてしい表情を顔に出しながら嘉陽田さんはバックを漁り、私のペンケースを取り出す。

「これ、筆箱」

「あありがとうございます…私これから生物実験室なので…」

「私も行くよ」

「いまなんて」

「私も行く、ほら、遅れたの私のせいじゃん?だから一緒に謝れば遅刻免れるかもよ〜」

今声に出してたのか、返事を返された。何か考えながら話すように、たどたどしくそれっぽい理屈を並べてくる。

「大丈夫ですよ」

「いいのー??私生物実験室場所分からないんだよねぇ〜」

言葉を伝えるのは難しい。国際の人は用事がないのか、場所を知らないらしい。確かに理数学系の校舎にあるし、他学系の人が使っているのかは分からない。

2人足を揃えて階段を降りる。

「今日何するの?」

「アザラシの解剖」

「アザ…豚じゃなくて?え、やだやだよゴマちゃん…」

「なにそれ」

この高校のためと、近隣の水族館や動物園から、授業で役に立つ様にと動物の死骸を頂く。

大学の学生か高等部の理数学系、或いは美術学系が解剖して、メモを取ったり骨格標本を作ったりする。解剖が終わり解体が終わると、その肉を使い、大学のカレーサークルがその肉を使ってカレーを作ったりする。

「えちょっとやめようかな」

「私行くね」

「やーだーいっしょにいたいー」

「」

贅沢な子だねぇ、なんて言える程の仲なのか、名前を奪ってしまうところだった

「ブフォ」

「さっちゃん?」

どこかで見たネタを思い出し思わず吹いてしまった。確か婆婆婆ァ婆・婆ァ婆婆とか

「いやっっ…ぶはっ…ごめんちょっ…腹」

敬語とタメ口が混じってる気がする。距離感が未だ掴めない。

「え……大丈夫?」

嘉陽田さんが私の心配しつつ、私のお腹を摩り始めた。何故だ。

「元気に産まれてきてねぇ」

「誰の子」

「私の?」

何を言ってるんだなんで…おかげで冷静を保てるようになった。

「子供の名前さ、ゆずちゃん可愛くない???」

「可愛いですけども…」

恥じたことを後悔する。本当に尻軽女なのかもしれない。

階段を降り、生物実験室に着いた。ガラス張りで中が見えるが、先に着いてる人達は円で何かを囲み先生の話を聞いている。

私よりも先に、嘉陽田さんは躊躇なくドアを開けた。

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