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はじまりの章 俺は嘘つきじゃない

おう、俺は超能力者だ。間違いない。


テレビや投稿サイトやSNSにいっぱい並んでる怪しいのと違って、俺は本物だ。


ただ。


誰もそれをわかってくれねえ。


俺の能力が特殊なせいなんだけどな。


テレパシー?

そんなスーパーに並んでるエリンギ並みにありふれたもんじゃない。


念力?

そんなスーパーに並んでるもやし並みにありふれて安っぽいもんじゃない。


タイムリープ?

そんな、あーもしかするとそれ系かもしれないけど、そんな美少女に似合いそうないい感じの能力じゃない。


予知?

うん。ある意味それだ。

俺の超能力に一番近い。


俺の超能力は、俺が、絶対起こる「間違いない」って意味の言葉をつけて宣言したことが絶対起こらないって能力だ。


身近なところで言うと、

明日晴れる、間違いない!って俺が言うと必ず雨が降る。


この電車に乗ると間に合うよ、絶対!

って俺が言うと必ず電車が止まって遅刻する。


んで俺の超能力の威力は大体100%。


なんで100%じゃないのかって言うと、まだ「その日」が来てない宣言もあるからだ。

もう来たのに限れば100%だと思う。

「思う」、ってのは俺が自分の超能力のことを忘れようとしてた時代の記憶があやふやなんでな。


悲しいだろ。

どこの誰に聞いたって俺のことを嘘つきって言うぜ。

自分のことを超能力者ですっていうだけで嘘つき呼ばわりされるのに、絶対に起こらないことを、絶対起こるって宣言しちゃう奴なんだぜ。

むしろ友達がいなくなる超能力だよな。


「俺君が絶対起こるって宣言したことは絶対起こらないんだったら、いつかヒーローになれるじゃない?」

と言った女の子もいた。


まー小学校の時のクラスでいちばん可愛かった学級委員が変な笑顔しながら言ったんじゃなきゃ、生きるよすがになってたかもな。うん。長いストレートの黒髪に可愛いさくらんぼのヘアピンつけて、何かのワンポイントの入ったレースの真っ白いブラウス着てたことまで覚えてる。

思えばあの時、俺のはじめての恋が終わってたんだな。


まあそんな感じで俺は今まで嘘つきとして生きてきた。

けど、もういいよ。

こんな超能力辛いだけだ。

高校生にもなって、「嘘つき」で学校中に名前が知られるとか。

ありえないだろ。

神様か仏様か遺伝子様が、あるいはその連合軍がくれたギフトなんだろうけど、俺にはすぎたギフトだよ。


だから俺は中学の卒業式を迎えた今日、超能力者も卒業する。

今までこんな簡単な方法に気がつかなかった間抜けを笑ってくれていい。嘘もついてないのに嘘つきで一生すごすよりずっといいよ。今日で終わりだ。




「俺は超能力者だ。間違いない。」


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― 新着の感想 ―
[良い点] 最高に面白かったです! [一言] これからも追ってまいりますので、執筆頑張って下さい!!!
2023/07/09 16:51 退会済み
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