プロローグ
簡単な依頼のはずだった。
「オォォオオォオォォオォオォオォオオォオオオオオオ‼」
俺たち冒険者は低ランクの依頼であるオオトカゲの洞窟の調査に来ていた。だが、今目の前にそびえ立っているのは、洞窟の天井に頭が届きそうなくらい巨大な白いドラゴンだった。
視界の端には壁に叩きつけられてトマトのように潰れた弓使いや、炎で焼かれて丸焦げになった剣士、そして彼らの仲間である女魔術師が泣き叫んでいた。
「オオオォオオッ、ウオォォオォォオオオオオォオッ‼」
その光景を見てドラゴンは再び咆哮を轟かせた。まるで脆弱な人間たちを嘲笑っているかのように。
こんな所で死ぬわけにはいかない││
俺は全ての運をこの魔術に懸けた。俺だけが使えて、俺が唯一使えるこの魔術に。
魔術の発動と共に光球が俺の周囲を回り始めた。その光球は洞窟の暗闇を払うぐらい煌びやかな虹色に輝いていた。
「頼む! 来いっ!」
俺にはその虹色の意味を知らなかった。だが微かな期待を抱きつつ、右手をその光球に突っ込んだ。すると光球の中で手を掴まれた感触がし、みるみる内に光球が己よりも背が高い女性の姿に変貌した。
「SSR《時空裁定者 フラル》 ただ今、顕現しました」
突然現れ、フラルと名乗ったその女性は俺の魔術で召喚された未来の仲間らしい。クリーム色の長髪をなびかせているフラルに向かって、ドラゴンは炎のブレスを吐きかけた。
すかさずフラルは腰に携えていた筒のような物を取り出し、唱えた。
「スキル2《次元銃・覚醒》」
筒の先の何もない空間に穴が開き、そこからドラゴンに向かって紫色の極太光線が放たれた。光線はドラゴンの炎を簡単にかき消し、その勢いのままドラゴンを反対の壁まで吹き飛ばした。
これが俺の固有魔術……。
これがSSR……。
これが…………ガチャ!
異世界ファンタジーの世界でガチャを引く物語を始めました!
毎日、大体20時に一話ずつ、完結まで更新していく予定です!
第1話はこの後、すぐに更新します!
よろしくお願いします!!