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夏の夜の廃墟で舞う艷妻・典子

作者: 不知火幎

ある夏休みに、私は妻・典子と獅子父の廃墟に行くと提案した。「今度の夏に、獅子父に行かないかい?」「どうしてよ?」「獅子父には、至る所に限界集落や廃墟(というか集落跡)がところどころ点在するのさ。まぁ、廃墟もあるけど」「ちょっと!廃墟って何か恐いわ」「まぁ、俺も行くのだから」「そういう問題じゃないわよ!」典子は、怪訝そうに答えた。

少し車を走らせて、「獅子父つつじ湖には越智郷村のように、かつて村があったけど、同じように沈められてしまったんだ」「そこもなのね」「まぁね。でも、その周辺には集落跡があるんだ。いくつかね」「へぇ」「でも今回は浦野山中学校跡地に行くつもりだよ」「どんな所かしら?」「まぁ行けばわかるさ」と話を続けた。

そうこうしてる間に、我々夫妻は蓬田トンネルを潜ってすぐの所にある浦野山中学校跡地に着いた。平成初期に閉校になった当校は、まさに廃墟と呼ぶには相応しい。近くの路肩に車を停めて、校門をくぐった。

「アナタ、校庭にあるあの像何かしら?」「二宮金次郎像だね。怪談でお馴染みの。」「何だか不気味ね」「安心なさいな!俺がいるのだから」「怖がらないでね」「はい」そう言って、夜の帳が下りた頃に校舎に向かうのだった。

校舎は二階建てである。過疎化のせいで、もうもはや廃墟と化したそれだが、どうやってかつての生徒たちは通ったのだろう。気になる。我々は懐中電灯を手に、校舎内に入るや否や、典子は私の手をぎゅっと握りしめるのであった。

「はじめは静かね。」「でも、まだ全部は分からないからちょっと見てみよう」ギシギシ言う床は、それはもう校舎の古さを物語る。「あれ、アナタ。なにか聞こえないかしら?」「え?わからん」「よく聴いてみなさいよ。何かピアノの音が」。そっと耳を澄ませてみると、聴こえてきたのは「エリーゼの為に」だった。「なんだろう?」と2人は音楽室に向かって歩いていくのだった。すると、「きゃぁぁぁ!!」と妻が叫んだ。怖がる典子を私は抱きしめ、落ち着かせるのであった。よく音楽室を見てみると、なんと!無人なのにピアノが勝手に動いている。「アナタ、お化けいるんじゃないの?」「まさかぁ。でもひとりでに動くのはなんか恐い」。実は私も少し震えてしまった。

次は理科室に向かった。2階の方だ。「ねぇアナタ、理科室もお化け出る定番では?」「そうだね、でも行こう!」「信じてるわ、アナタ!」そうして話していると、理科室に入った。すると、ガイコツの模型が踊ってる姿を見た。すると、我々は姿勢を低くしながら辺りを見回した。「なんか怖いね」「だから怪訝そうにしたんじゃないの!」小声で典子は半ばいきり立ち気味に言った。更に、人体模型まであるから不気味さが増す。如何にも踊り出しそうな感じだ。

次は美術室に。かの有名なドナテロやレオナルド・ダ・ヴィンチ、ピカソやゴーギャン等の肖像画が並んでいた。入るや否や、彼らは我々を見るかの様に視線を動かしていた。典子は少しビクッ!と、しながら私の手を強く握った。「離さないでね。」「もちろん」。そう話しながら、今度は「考える人」の彫刻が置かれていて、私たちが通り過ぎると「ガタン!」と首の部分だけが落ちた。妻を守るために私がいるのだ。

色々な教室を見てみると、何人かの生徒の霊が授業を受けていたが、すぐに消えてしまった。机や黒板には落書きが目立っていた。一通り見てみると、「死ね!」とか「バカ」とかの落書き(?)が彫刻刀で彫られた跡が見受けられた。いじめを苦に自殺した子供の霊だろう。きっと出てくるかもしれないようで怖い。次の瞬間、見回りと思しき女教諭が「どうしたの?」と問いかけてきて、私は「ちょっと見てみたくて、すみません」と返したが直後に私は異変を感じ、妻の手を引いた。すると、その教諭の首が伸びてきて「アナタぁ!!!!」と典子は動けなくなってしまった。怖さのあまりに。するとこうなったら、私は典子をおんぶの要領で背負い、走った。そう、その教諭は「ろくろっ首」なのだ。「お待ちなさぁい」と伸びた首がどこまでもどこまでも追尾してきたのだった。「まだ追ってくるわ!何とかして!!」必死に私は隠れられる所を探す為に、階段を降りる直前にろくろっ首の眼球目がけてライトを強めにして(実は3段階あって、今まで使ったのは中だった)、目くらましを使った。

漸く、隠れた場所は幸運にも、生徒達がかつて使っていた玄関付近の守衛室だったのだ。何とかお互い息を殺しながら身を潜めた。教諭は「ううぅ、目がぁ。おのれぇ、どこにいった!!」と叫んだのと同時に、先程のガイコツ模型や、絵から出てきたピカソ達がゾロゾロと私達を探したのだった。

何か紙が落ちていたらしく、見てみると「夫婦の契りを交わさぬ限り、ここからは出られない」と書かれてた。私は音を立てずに彼らに見つからないように細工を施した。

「ねぇアナタ、この紙の通りにするなら、もうヤるしかないんじゃないの?私たち」「うん、、、。」「極力声を出さない様にするわ」「了解」と小声で話すのだった。幸いにも、走って行けば車にでくわせる距離なので、行為がすんだらすぐに行ける準備も考慮した。

典子の膣は恐怖からか、既にびちょ濡れだった。紙のお告げの通り、私達は「行為」を行った。毛布があった為何とか音とかは響かないようになった。

「ごめんね典子」「怖いから、「行為」で気を紛らわすわよ!」そう続けた。お告げ通り、「行為」は後背位で行った。「しゅいいいーーーーっ!!!」と典子の嬉ションが私に助けられた愛を込めて、強い勢いで滴るのだった。それも「行為」の最中に。濡れても尚、締め付けてきた典子の膣が、私のモノに刺激を与えた。「典子、典子、ここに連れてきたことは謝る。だから、許して」「あっ!うっ!本当は許すか、うっ、迷ったけど、あっあっ!最後まで守ってくれたから、ひっ!許すわ」とイヤらしい声を漏らした。その後は正常位と体勢を変えて、典子は私に抱きついた。まるで艷やかに舞う女人の様に。

私も怖くなって来たところで、2人は「行為」を済ませた後、脱出の段取りを私は考えた。暗くてよく見えない為に私は、近くに落ちていた校舎の見取り図を確認した。丁寧に、どこが北か書いてあった。西に出口、つまり守衛室の扉から右に向かえば校舎の出口になる。しかし、足音がバラバラな為、出るタイミングを伺っていた。教諭が「どーこーだー」と首を伸ばしながら徘徊して、更にピカソ達までも見回っていた。数分待った後に典子は守衛室に垂らした嬉ションを毛布で拭き取っていた。お化け達の足音が遠くなった隙を突いて出ようとした途端に「ギシッ!」となってしまった為に(「行為」は済ませた為に出られるようになった)、すぐに校舎を出て私達は車に一目散に走って乗り込んだ。時計は夜3時を指していた。すると、ライトをハイビームにして脱出をしたのだった。

お化け達からは逃げきれたものの、典子からは「もう!こわかったじゃないの!!」とお冠になった彼女の雷が私に落っこちてしまったのであった。それ以来、廃墟は休みのプランから外されるようになってしまったのであった。


あとがき

どうも、不知火幎とばりです。地名ですが、元ネタを紹介しようと思います。右に書いてあるのは、実際にある地名です。

尚、寄国土ゆすくどですが、秩父さくら湖建設の為に沈められた近くの集落から取ったらしいもので、実際には獅子舞のモチーフ(?)がなされています。興味のある方は、ぜひ立ち寄ってみてください!


・獅子父→秩父

・浦野山中学校→浦山中学校

・獅子父つつじ湖→秩父さくら湖

・蓬田トンネル→寄国土トンネル

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