イジメ捜査 6
間違った内容があるかもしれません。
そのときはすみません。
今日はついに道徳の授業の日だ。治ると思っていた体調は良くないが、みんなに理解してもらいたい、いじめを無くして欲しい、そんな思いで今日の授業を挑む。
校長先生に今日の授業の流れを見せた。
「校長先生、私は今日の授業でいじめ犯罪について授業します。」
「安積先生、体調の方は大丈夫なんですか。中野先生が昨日準備をすると言ってましたが、」
「大丈夫です。中野先生には、内容を話しているので、何かあれば代わる事はできます。中野先生は私の補助に入って頂いてます。」
校長先生は重々しく頷いた。
そして、ついにその時がきた。六時間目、道徳。
花岡先生は後ろに立っていて自分の事を見ている。中野は私が用意したパソコンを使い補助に入っている。準備は身体以外万全だ。息を吸い深呼吸をした。
「今から、道徳の授業を始めます。」
六時間目は寝ている子が多いが今日は誰一人寝てしまいそうな子はいなかった。
「今日の授業は、いじめ犯罪についてです。皆さんは知っている人もいると思いますが、いじめは立派な犯罪です。今から黒板に書くことはプリントにも同じ事が書いてあるので、しっかり読んで下さい。」
みんな、プリントを見た。田中京子もだ。
「ではまず侮辱罪、これは刑法231条相手を曖昧な事で、馬鹿にする事、留置もしくは科料が貸せられる。」
みんな、黒板に注目している。
「相手を叩いたり、蹴る、わざと当たるなど身体に危害を加える行為は刑法208条の暴行罪、怪我をさせたら、刑法204条の傷害罪、怪我が原因で亡くなれば刑法205条の傷害致死罪にあたります。」
「先生、遊んでいるときに叩くのはどうなんですか。」
初めての質問だ。
「例えば、私が中野先生の肩を叩いた。これは呼びかけ、悪意をもって身体を叩くのは犯罪です。」
ナカと二人でわかりやすく説明をしていく。
「次は、あんまりいないと思うけど、脅して万引きさせるのは刑法223条の強要罪にあたります。また、脅迫してその上暴力を加え、金品を取ろうとする事は刑法249条、236条の恐喝罪、強盗罪にあたります。所持品を隠したり盗んだりすると刑法235条、252条の窃盗罪、横領罪になります。物を壊すことは、刑法261条の器物損壊罪になります。」
ナカに黒板を書いてもらっている分、自分への負担は軽かったが思っている以上につらい。
「皆さん、自分のスマートフォンを持っていると思いますがSNSをやっている人はどの位いますか。そこで誰かの悪口を言う行為は刑法230条の名誉毀損罪になります。また、殺すや、ーーしないとどうなるか、というように相手を脅すと、刑法222の脅迫罪が成立する可能性があります。また、自殺関与、同意殺人といった自殺を勧める行為も犯罪になります。詳しく聴きだい人は何時でも聞きに来て下さい。」
かなり、きつくなってきた。後三十分、もう少しだ。
「先生の話ばかりでつまらないと思うけど、もう少しだけ話を聞いて欲しい。」
みんな、真剣な眼差しで見ている。深呼吸して話始めた。
「実は、先生過去にいじめを受けていた。幼稚園から高校まで、ずっと受けてきた。幼稚園はそんなに酷くなかったちょっといじられる程度だった、それにいじめがどのようなものか分からなかった。そして小学校に入ると、自己紹介のたびに説明して、あだ名を付けられて酷い目にあって初めていじめを理解した。」
みんな真剣に話を聞いている。
「今の時代は、SNSを使用したいじめが数多くあります。匿名で投稿しても、どこから発信しているのか、誰が書いたのか全てわかります。これは名誉毀損罪なので、場合によっては逮捕、書類送検というかたちなります。昔は直接言われていたからもっとつらかった。相談室のような所も、人に相談もできなかった。こんな思いもう誰にもしてほしくない。だから、このクラスの空気にも気づいてほしい。もう誰も亡くなってほしくない、苦しんでいるところを見たくない、そう思って私は今、この授業をしています。どうか、このクラス、いえ学校からいじめを無くして下さい。」
そこでチャイムが鳴った。もう三十分たっていた。クラスをみると、悔しがって泣いている子もいた。
「先生、私命令されて、人をいじめていました。」
「僕もです」
「私もです。」
クラスの子達がみんな誤っている。見渡し、一番後ろの席をみると、田中京子は私を見ていた。真っ直ぐに。
「僕をいじめめた人に言います。」
いきなり、シオン君が立ち上がった。
「僕は変な人達と関わってなんていません。僕は、虐待を受けていました、でも先生の仲間に助けてもらい家族が団結しました。」
そう言って席についた。
「私だって、汚いものではありません。人はみんな同じだって先生に教えてもらいました。」
レオさんも声を上げて言った。私はこの空気に飲まれてしまい呼吸をするのを忘れてしまうぐらいだった。挨拶も忘れるところだった。
「これで授業を終わります。話を聞いていただきありがとう御座いました。」
誰が机を叩いて立った。
「安積先生、中野先生、私達に何か隠してませんか。昨日先生が裏門から出て二人を誰かに預けているところを見ました。ついて行ったら警察署に行ってましたよね。先生の名前出したらすぐわかりましたよ。かなり有名な人達みたいですから、誰に聞いても知ってました。」
嫌な冷や汗が背を伝う。心臓が破裂しそうな早さで動いてる。バレてしまうのか、何か言わないといけないが口が乾燥して動かない、助けて欲しい。
「安積先生、中野先生、お疲れ様です。」
校長先生が入ってきた、入っては来てないがメンバーもいた。
「田中京子さん、あなたは生徒指導の先生方と話した結果、二週間の停学処分が出ました。すでに母親にも連絡しています。」
気付けば緊張はゆるみ勝手に口が動いていた。
「田中京子、学校の規則を破った罪は、こういった形で自分に帰ってくる。これが大人になって公共の場だったらあんたは逮捕されていた、停学で済んだことに感謝するんだな。」
田中京子はその場で泣き崩れた。自分もたっている事がつらく、後は先生に任しナカと職員室に戻るふりをし教室を出た。出るとメンバーが立っていて秋が抱いてくれた。その後の記憶はなかった。