7、サキト視点
あんなに完璧な王女様が俺たちぐらいの王子を
相手にするのが、なんとも不思議。
なんでアイルくんなんだろう…
まぁ、確かにアイルくんは他国の女性にも人気で
結婚したいという人は少なくないとは思うけど
まさかレイ王女までが立候補するとは…
あんな出来事があってから一週間。
それぞれ、いろいろ調べたことを発表することに。
「では俺から。
俺が調べたのはトルヴィアノ王国について。
この辺りで一番大きい王国で争い事を嫌います。
何事も話し合いで解決していき
常にwin-winの関係を築いています。
他国からの評判も良く、欠点がありません。
しかし、うまくいきすぎているのが謎です。
小さな揉め事の1つすら見つかりません」
「ではトルヴィアノの国民ですが王族に対して
不信感やマイナスなイメージは無いそうです。
国民から絶対的に慕われているのがレイ王女で、
レイ王女を支持する国民は王を慕う国民よりも、
はるかに多かったです。
今の王妃は2人目で、前王妃イレイア様は病死し、
貴族であるシャナ様が王妃になったと
国民は言っていました」
「シャナ王妃ですが現在、妊娠中だそうです。
イレイア前王妃とは、この世界では珍しい恋愛結婚で
シャナ王妃は空席を埋めるために結婚したようです。
このため、王のシャナ王妃への愛よりも
はるかにレイ王女への愛が強いそうです。
噂では例え、王子が生まれても次の王は
レイ王女だと言われています」
「レイ王女ですが、母親の死後、
勉強だけでなく芸術関係、医術なども学び、
度々、城外へ出ては国民と過ごしているそうです。
そして、本当かどうかは、わからないのですが…」
そこまで順調に進んだ発表でソラくんが言葉を濁した。
「なんや?」
「噂によれば女神がレイ王女に宿ったと…」
女神が宿った?そんなことあるのか?
神話や昔話以外で聞いたことないけど…
「そのため次の王はレイ王女だと王族や貴族だけでなく
国民からも支持されているようなんです。
ですが、それを証明するような前例は
何も見つかっていません」
証明できないとなると、ただの伝説…?
ここまで支持されているのはレイ王女の人柄だろうし…
「思ってたより情報少ないな…」
「まぁ大国ですから、守秘義務はどこの国よりも
徹底されているとは思います」
そりゃそうだよなぁ…
簡単に調べられるなら、秘宝だって
わざわざ城に忍び込まなくても
何か手がかりあっただろうし…
「それで、兄さんは?何か手がかりとか」
「えっ、あー…それが何も無くて…
国同士の接触はあったけど、俺とレイの接触は…」
どれも情報が不十分。
その後、調べ直したけど結果も変わらず。
「本人に聞くしかないか…」
「聞く機会なんて、あるんですか?」
「満月の夜0時に城に忍び込むことになってる。
これもレイの提案や」
レイ王女の提案…
本人に聞くしかないのか…