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「実は、師匠が夢枕に立ってさ」
長峰容疑者がパトカーで連行された後、薫兄ちゃんはもう一度仏壇に手を合わせながら、頭がフリーズ状態の私に種明かしをした。
「香奈が怪しい男を連れてくるから、その人となりを徹底的に見極めろって言うんだ。妙に現実味があってさ。変な夢だよね」
「おじいちゃんが……」
「まさかそれが、二十年前の強盗殺人犯だったなんてね。師匠も、あの事件のことは最期まで心残りだったみたいだし……これで成仏してくれるかな」
「……しないと思う」
なんてことをしてくれやがるのよ。
私は仏壇を睨みつけた。
遺影の祖父は、満足そうに笑っていた。
(完)




