3,部屋にて
遅れました。
「それでどうした?」
「はっ、忘れてた。王務室にすぐ来いっt『はぁ!!!』
てさ」
「おい、めっちゃ重要じゃん。ちょっと着替えてくる」
シュウアの部屋は1LDKだ。リビングと寝室、風呂とトイレが有るくらい。
彼はアリスに断りをいれてから寝室に入り、クローゼットを開く。
ちなみにここでは彼はダークスーツ(?)を着て訓練に参加したり、会議に出席したりしている(この世界にスーツはない。シュウアが考えて特製で作らせた)。
「これでいいか」
シュウアは少し紺色に近い黒色のスーツ(?)に着替え寝室から出て来た。途端にアリスがだきついてくる。とは言ってもアリスはシュウアの胸くらいの高さしかない。だから当然、シュウアが見下ろす形になる。
アリスのさらさらした髪を撫でながらシュウアが呟く。
「よし。行くか」
「ええ~、もう行くの?」
「うん、王からの命令だろ?余り遅れてもいけない」
「は~ぃ」
アリスは不満のようだがさっきまで撫でて貰っていた感触を惜しみながら立ち上がる。
部屋の中など二人きりの時は何故かアリスは甘えてくるな~と、人事みたいに思うシュウアだった。
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王務室というのは大抵、城の上階にあり更に一番豪華な物だ。
魔王城も同じく王務室は最上階にある。
’コンコン’
そして、最上階の王務室にシュウアがいた。彼の後ろにはアリスが前には魔王・カリスがいる。
’魔王’ カリス・ヴィルヴァード
ここ数千年程この地を支配しているヴィルヴァード家の末裔だ。
彼等一族はヴィルヴァード家で悪魔と契約しているらしい。そのお陰で卓越した魔法の才と頭脳を持っているのだが。
魔王として崇められ畏怖されているのはその魔法力で五年前、災害をもたらしたからだ。
領地を焼け野原に変え、沢山の民を殺した、更にその疲弊した領土を三年で復活させた手腕。
それらが民に魔王と呼ばせることとなった。
感想等して頂けたら幸いです。