8.買い物と回想
「お兄ちゃん!これどうかなー?」
「可愛いすぎだろ…」
「きゃは!うれしー!でもさっきからそればっかりじゃん。お兄ちゃんの意見を聞きたいんだけどー?」
部活を簡単に終え、アイナと別れた俺はひなの買い物に付き合っていた。夜ご飯の買い物のはずだったんだが、ひなも華のJKというわけで、何か小物でもプレゼントしてやりたくなったため、こうして街を回っている。金の心配はいらない。何故なら俺はバイトをしているし、父親がなに不自由ない程の仕送りをくれるからだ。そちらはひなの為に全て貯めているのだが…
「とは言ってもひなは何でも似合うし金の事は心配しなくてもいんだぞ?」
「そ、こ、じゃ、なーい!お兄ちゃんの選んだのが単純にいいのにー!そういえばさー?今日エル先輩に会ったよー?」
「そうか。なんか言ってたか?」
「ううん。よろしくってー。でもアイナに似てやっぱり凄そうな人って感じー。」
それは京介とアイナが写真部の部室でダラダラしていた時に遡る…
「お兄ちゃんまだかなー?まぁアイナに案内したらすぐ終わるって言ってたしー…はぁ…クラスは楽しいけど男子はキモいしウザいなー…」
「くす…ハッキリと言う子ね?さすが京介くんの妹さんと言ったところかしら?」
「お兄ちゃんの知り合いですか…ってもしかしてアイナのお姉さんですかー?」
「正解よ。アイナを待ってる間に少しあなたとお話ししてみたくて。迷惑だったかしら?」
「そんなことないですよー?ひなも会ってみたかったしお兄ちゃんの事待ってますのでー!」
ひながベストプレイスとして教えてもらった屋上で待っていると、エルが姿を見せ2人の空間になる。
「この場所は京介くんに聞いてたまに来るの。使用禁止だし誰も来ないから。」
「やっぱりアイナに似てますねー?偶然って顔してますけどさっきからいたの知ってますよー?」
「くす…ほんと京介くんに似てるわね?全く物怖じしないところ、流石だわ。アイナと仲良くしてくれてありがとうね?…えっと。」
「ひなでいいですよー?エル先輩の事はアイナからもお兄ちゃんからも聞いてますし、お兄ちゃんの事感謝してますし。」
「私は最近聞いたのだけれどね。全くあざとい妹を持つと大変だわ。まぁ紹介されなくても正直どうでもいい事なのだけど、中学から親交があったってところは腹が立ったわ。」
「エル先輩もひなに宣戦布告しにきたんですかー?お兄ちゃんの事どう思おうが勝手ですけど、ウザい噂とか色々聞いてイライラしてましてー。でもお兄ちゃんのフォローをしてくれてるって聞いてましたからちゃんとお礼言いたかったんです。アイナとは親友だし、とりあえずこれからよろしくお願いしますー!」
「大丈夫よ。2人とも落としてしまえば問題ないから。よろしくね?ひなちゃん。」
「うわー…やっぱり姉妹ですねー…」
ひなはエルの態度に引き気味で握手をする。




