7.部活
「はぁー…落ち着く。」
入学式の次の日の放課後、俺はとある教室に来ていた。実は俺は部活に入っている。と言っても部員は二人のしがない写真部だ。孤独だった俺はカメラにどっぷりはまりまだ見ぬ絶景を取る事で現実逃避をしていたのだ。ちなみ、ななかは軽音部、エルは文芸部だ。ひなは部活に入る気は無いようだが…そして写真部のもう一人の部員というのが…
「くす…もっと落ち着く事しますか?先輩?」
「や、もう充分落ち着いてるからいらん…」
「意地悪ですね先輩は?また2人の写真部よろしくお願いしますね?1年間一人で寂しかったですよね?」
「いや、全く。まぁでも2人の方が楽は楽だからな。よろしくアイナ。」
そう。西条エルの妹であざとい後輩こと、西条アイナがもう1人の部員だ。その関係でひなとアイナは仲良くなった。これもエルは最近知ったらしい。中学の時は接点なかったし、アイナも特に俺の事はエルに話していなかったらしい。
「しかし、高校の方が流石に設備整ってますね?先輩の写真も相変わらずいい写真ばかりです。」
「ありがとう。ところで新歓のパンフの事でいろんな場面を写真に撮ってくれと生徒会からの依頼が来てる。だがアイナも新入生だしどうする?」
「んー?それって部活勧誘が割とメインですよね?それなら私はもう部活入ってますし、先輩といた方が有意義ですから、気にしないでください。」
「いや、ひなと回ってそれついでに新入生目線で写真撮ってくれないか?俺はほら、いい噂無いからあまり中まで入れんからな。」
「そういう事でしたら。噂の発端を抹消させる事も出来ますけど?」
「エルみたいなこと言うな。それはそれでお前達に危害を加えるやつもいなくなるしいいだろうさ。」
「くす…策士ですね先輩。素敵です…」
「とりあえず今日はこんなところだ。基本的に自由活動なのは変わらんからアイナも好きにしてくれ。」
「はい。先輩のほぼ私室と化してますので私もまた好きにさせていただきます。また同棲生活、よろしくお願いしますね?」
「…絶対ひなとエルの前で言うなよ?考えただけで恐ろしい…」
「くす…何のことですか?先輩?」
あざとい後輩の言葉に少し冷や汗をかきながらも全く動じないアイナを気にするのをやめ、京介は窓の外を見つめる。




