5.後輩
「ひなは先に帰らせたし、なんかご機嫌取るために買い物ついでに買わねーと…」
生徒会の仕事を終えた俺は、先に帰らせた妹の事を考える。実は朝校門の前で二人で写真を撮ったのだが、帰りにも撮りたいと言ってきた。しかし俺は先にも言ったが用事のためひなを帰らせたはずだったのだが…
「誰のご機嫌を取るって?お兄ちゃんっ?」
「お前は誰だ?俺に妹は一人だけなんだが…」
「いやだお兄ちゃんっ!可愛い妹が帰ったと見せかけてそれでもやっぱり待ってて一緒に帰ろうとしてるんだよー?」
「ひな…先輩困ってるからその辺にしたらどうですか?」
「そうか、アイナがひなに付き合ってくれてたのか…ありがとうな?」
「いいんですよ先輩。ひなと同じクラスになれたのが嬉しくてつい話し込んでしまっただけですから。」
西条アイナ。隣の席のエルの妹で、俺は二人とも共通点があったのだが、エルは最近知ったらしい。あざといからなこの子は…しかし、ひなにもにも負けない可愛さと持ち前の礼儀の良さでもちろん人気だ。エルとは逆のタイプだが姉妹仲はいいらしい。
「それに…ひなと一緒にいれば先輩に会えますから。」
「うわー…ハッキリ言い切るあたり凄いよねー?何度ひなに宣戦布告すれば気がすむのー?」
「くす…まぁまぁとりあえず今日は迎えも来たし帰りますね?あと姉さんの事今年もお願いしますね?では…」
そういうと、軽く会釈をしアイナは二人の前を後にする。
「ほんとアイナはあざといよねー?まぁ親友だしお兄ちゃんの魅力に惹かれるのは嬉しいけど、それはそれこれはこれだからー。」
「まぁどこまで本気かは知らんがとりあえず親友が同じクラスでよかったな?」
「お兄ちゃんも今年はみんな揃ったらしいねー?二年三組が凄いって一年でも凄いから。もちろんお兄ちゃんの噂もあるけど、ウザいからどうでもいいし、お兄ちゃんにはひながいるしー!と、言うわけで買い物行こっ?今日はひなの入学祝いしてくれるんでしょー?」
「もちろんだ。あと少し学校では控えろ。」
いつものようにひなは京介の言葉を無視し、自分の手を絡ませる。京介は拒む事はないが少しため息をつく。




