4.先輩
「あー疲れた…」
「ふっ…クラスの貼り紙を見た瞬間からこうなる事は予想済みさ。」
「やっぱりあの二人は交わらんかねー。あとはひながどうなるかってのもあるが、まぁ大丈夫か。」
「相馬妹だが、すでに一年では1番の人気だと思うぞ。兄としてはどうするんだ?」
「ひなの事は守る。しかし俺にかかってくるやつもいないだろう。そしてまたいつもの一人さ。」
「安心しろ俺がいるではないか!」
「気持ち悪い事を言うな…」
あの後は簡単なオリエンテーションと自己紹介で終わったのだが、クラスの反応は様々だった。学内でも一二の美男美女がいるのだから歓喜するやつ。そして俺は違う意味で目立っているためあからさまに怖がるやつ。知っているため特に何も言わないやつ。そしてエルとななかをなだめ、いきつく暇もなく生徒会の手伝いに駆り出されているという訳だが…
「失礼します。」
「あっ。慎二、京くん。待ってたよ。」
相楽舞。この相楽慎二の姉にして生徒会長だ。もちろん慎二の姉だけあり見た目もその他も完璧超人だ。姉と弟で生徒会を牛耳っているのはどうなんだ?と聞いたところ、たまたまそうなっただけとの事。二人は特に仲が悪いわけではないし普通の1姉弟、会長副会長としてやっている。
「いつもごめんね京くん?生徒会って意外と激務なのよねー。」
「まぁ舞さんと慎二がいても手が回らないって事はそうなんでしょうね?しかし俺はお二人みたいには出来ないですけど。」
「何を謙遜している?京介にはいつも驚かされるのはこちらの方だがな…」
「全くね…さっ、早いとこ終わらせましょう。京くんは私と資料室に行って必要な資料の回収。慎二とみんなは雑務よろしくね?それじゃあ京くん行きましょうか?」
舞の言葉に頷き、京介は後を歩く。
「新しいクラスどう?京くん。」
「まぁ…めんどくさいの一言ですね。俺は静かに過ごせりゃそれでいんですが。」
「ふぅ…まぁなんとなく京くんの気持ちもわかるけど、柄にもなく慎二も嬉しそうだし、妹ちゃんもエルも明日奈ちゃんもいるのでしょう?」
「それが1番めんどいんですけど…」
「まぁいいわ。クラスに疲れた時はいつでも私のところに来てもいいわ。慎二には悪いけど、私も嬉しいし。」
「…ありがたく受け取っときます。」
二人は程よい距離感を保ちながら資料室を目指す。




