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聖徒会 第四章  作者: 麻生弘樹
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聖徒会 最終章

気付くと蓮は病院のベッドに横たわっていた。

意識が朦朧としているせいか、何が起こっていたのか気付くのに時間がかかった。

やがて、希がさらわれた事を思い出し、蓮はすぐに起き上がる。

が、激しい痛みのせいでそれは無理だった。

と、そこへ敬介と仁が病室に入ってきた。

「神島君!

 目が覚めたんだね?」

「敬介、それに会長……。」

二人は席に着くと、経緯を話した。

魔物の気配を感じ取った二人が向かうと、そこには蓮が倒れていた。

その蓮を二人は救急車を呼び、病院へ運んだのだった。

「それよりも女神が!

 ラザルドっていう魔物にさらわれたんだ!

 早く助けに行かないと!」

無理矢理起き上がろうとする蓮を二人は止める。

「落ち着いてくれ、神島君!

 助けに行くと言ってもどうやってだい?」

「それは……。」

「今は君の怪我を治す方が先決だ。

 納得いかないだろうが今は身体を休めてくれ。」

更に敬介が

「お前の気持ちは分かる。

 俺達もすぐに助けに行きたい気持ちは山々なんだ。」

確かに今はどうしようもない

蓮はただ自分の不甲斐なさを憎んだ。


希は気が付くと、自分の両手が拘束されている事に気付いた。

振りほどこうとしても鎖はびくともしなかった。

「ほう、お目覚めかな?」

希の目の前にはラザルドが立っていた。

「ラザルド……!」

力一杯、ラザルドを睨み付ける希。

そんな希を見てラザルドは不気味に微笑んだ。

「もうすぐだ……。

 お前の強大なパワーを利用すれば人間界は滅びる。

 そしてお前自身も消滅するのだ!」

笑い声をあげるラザルド。

そして希の顔を掴むと

「良かったなあ、女。

 もうすぐ親の元へ行けるのだぞ?

 楽しみに待っているがいい……。」

と耳元へ呟いた。

希はただ涙を流し、恐怖に怯えるだけだった。


「本当にそんなことが出来るのか!?」

退院した蓮は敬介と仁から希が囚われている魔界に行く方法を教えられていた。

「ああ。

 僕と氷神君の力を使って魔界へのゲートを開く。

 だが、ゲートが開けば魔物達がこちらの世界へ侵入してくる。

 それを僕たちが喰い止めるから君はその間に魔界へ行き、女神君を救いだすんだ。」

頷く蓮。

「こっちの事は俺達に任せろ。

 お前は女神を救い出す事だけに専念しろ。」

「分かった……!

 何としても女神を救い出してみせる。」

覚悟を決めると蓮は二人に頷いてみせた。

すると、敬介と仁は何やら呪文のようなものを唱え始めた。

すると大きな黒いゲートが現れた。

ゆっくりとゲートが開かれる。

次の瞬間、無数の魔物が一斉にこちらの世界に侵入してきた。

すぐさま立ち向かう敬介と仁。

「行くんだ!

神島君っ!」

「蓮、必ず戻って来いっ!」

そして蓮はゲートに向けて駆け出し、魔界へと入って行った。


辺りは一面、闇に覆われていた。

空までもが黒く、不気味そのものだった。

蓮の視線の先に見えたのは、巨大なお城だった。

「きっとあそこに……。」

蓮はお城に向かって走り出した。


敬介は両手に氷の剣を持ち、次々と魔物を斬っていく。

仁は光の弾を放ち、魔物を吹き飛ばしていく。

「くっ……!

 さすがに数が多いな。」

「神島君が戻ってくるまでの辛抱だ!

 何としてもここは僕達で喰い止めようっ!」

二人は同時攻撃を放ち、魔物達を一掃した。


お城に辿り着いた蓮はひたすら道を真っ直ぐに進んだ。

やがて蓮の前には巨大な扉があった。

意を決して、その扉を開くと中には

「女神っ!!」

両手を拘束されている希と、ラザルドがいた。

「神島さんっ!!」

「ほう、遅かったな。

残念だが、あと少しで世界は破滅する!!」

そう言うと、ラザルドは蓮に向かって襲い掛かってきた。

すぐさま炎の剣士へと変身し、迎え撃つ。

だが、ラザルドの圧倒的なパワーにどんどんおされていく。

そしてラザルドが放った光線が蓮の身体を貫いた。

「っ!?」

その場に倒れた蓮は少しも動かなくなった。

「神島さん……!神島さんっ!!」

泣き叫ぶ希。

その時、希の身体から黒いオーラが現れた。

「これだ!この時を待っていたぞ!」

するとラザルドは呪文を唱え始めた。

黒いオーラがみるみる大きくなっていった。

「このオーラを人間界に送り出せば、世界はやがて滅亡するっ!」

巨大化したオーラは上空へと舞い、広がっていった。


「あれは一体っ!?」

仁が空の意変に気付く。

空がどんどん黒い闇に覆われていくのが分かった。

「まずい、このままだと……!!」


呪文を唱えていると、希が苦しみだした。

それを見てあざ笑うラザルド。

「お前も家族のように苦しんで、絶望し死んでいくのだ!」

その時、蓮がゆっくりと立ち上がった。

剣を再び握り締め、油断しているラザルドの隙を狙い、斬りかかる。

「くっ!貴様あっ!」

苦しみラザルド。

その間に希の元へ駆けつけた蓮は思いっきり希を抱きしめる。

「元に戻ってくれっ!

 女神っ!!」」

しかし、希の暴走は止まらない。

「ふん、無駄だ!

 その女は世界を滅ぼし、自らも死ぬのだ!」

「女神っ!!」


次の瞬間、蓮は希の心の中にいた。

目の前には苦しむ姿の希がいた。

希は涙を流していた。

もはや世界は滅亡寸前、これまでかと思ったその時。

希のポケットからペンダントが落ちた。

落ちた衝撃で蓋が開き、以前、蓮と一緒に取った写真が目に入った。

わずかに希の意識が戻る。

そして蓮は必死に語りかける。

「約束したろ?

 また一緒にデートしようって!

 また二人で遊びに行こう!」

希はゆっくりと蓮に向けて手を伸ばす。

蓮は迷うことなくその手を強く握った。


次の瞬間、希の意識は戻り黒いオーラが消えていった。

「何!?

 そんな馬鹿な……、ありえん!」

予想外の事態にラザルドは驚きを隠せなかった。

そして現れたのは希をお姫様抱っこしている蓮だった。

「神島さん……。」

「もう大丈夫だ、女神。」

お互いに微笑みあう。

「許さん……!

 許さんぞおおっ!!」

ラザルドが闇の波動を放つ。

だが、その攻撃は氷と光の光弾によって打ち消された。

「!?」

見ると敬介と仁が立っていた。

「よくやったね、神島君。

 こっちは方付いたよ。」

「あとはお前だけだ。

 化け物野郎。」

集結した聖徒会メンバー。

蓮が剣を構える。

すると蓮を除く三人の手が光りだした。

「これは……?」

「そうか!」

と、仁が言った。

「みんな、神島君に僕達の力をっ!」

蓮に手を向けて、パワーを送る。

「ありがとう、みんな!

 確かに受け取ったぜっ!」

一気にラザルドに向かっていく蓮。

形勢逆転。

ラザルドは次々とおされていった。

風の力で吹き飛ばし、氷の力で動きを封じ、光の光線を当て、炎の剣で斬りかかる。

「何故だ!?

 何故、この俺が!?」

蓮は剣を上にかかげパワーを溜める。

「うおおおっ!!」

そのまま剣を振りかざし、ラザルドを一刀両断した。

断末魔と共にラザルドは消滅した。


「ありがとう、みんな。」

元の姿に戻った蓮は三人にお礼を述べた。

笑顔でそれに答える三人。

その時、大きな地響きと共にお城が崩壊し始めた。

「みんな、急いで脱出だ!」

やがてお城は完全に崩壊した。

ゲートをくぐり、四人は無事に元の世界へと帰ってきた。

空は青く澄み渡り、世界は崩壊の危機から去ったのだった。

「終わった……。」

安堵する蓮。

「よくやってくれたね。

 お礼を言わせてもらうよ。」

「全く、大した奴だ。」

「本当に何とお礼を言ったらいいのか……。」

蓮は三人に笑顔で答えると、そのまま意識を失った。


蓮は気付くと、またもや病院のベッドに横たわっていた。

ふと見ると、希が椅子に座ったまま目を閉じ、眠っていた。

「女神……。」

そう呟くと、希は目を覚ました。

「神島さん!

 気が付いたんですね!」

「ああ……。

 というか、俺は一体?」

「あの後、神島さんが急に倒れて、すぐ病院へ運んだんです。」

「そうだったんだ。」

「……良かったです。

 本当に無事で……。」

蓮の手を握りながら、希は言った。

そして、

「本当にありがとうございました。」

と、お礼を述べ、涙を流す。

「約束を守っただけだよ。」

蓮はその涙を拭ってあげる。

そのまま二人は見つめ合い、そして次の瞬間

病室のドアが開き、敬介と仁が入ってきた。

「神島君、調子はどうだ……」

と、そこで二人が見たのは良い雰囲気になっている蓮と希だった。

「い?」

そしてそれぞれ目が合うと、

「……ごゆっくり。」

それだけ言って、素早くドアを閉めた。

「……。」

溜息をつく蓮。

そして二人で顔を見合わせ、笑った。


一週間経ったある日の日曜日。

蓮と希は約束通り、デートをしていた。

希はお手製の弁当を作ってきたという。

大きな公園でお昼にする二人。

「今回は結構、自信作なんです。」

と言いながら、蓋を開けると色とりどりのおかずが綺麗に入っていた。

蓮の大好物の唐揚げも、もちろんある。

「はい。」

すると希はお箸で唐揚げを取り蓮に差し出す。

「え?」

「はい、アーン。」

言われるがままに口を開ける蓮。

そのまま唐揚げを食べた。

自信作というだけあって、味はかなりのものだった。

その後も、たくさんのおかずを味わう蓮。

やがて食べ終えると、急に眠くなり蓮はそのまま寝てしまった。

しばらくして目が覚めた蓮は自分が横になっている事に気付く。

そして蓮は希に膝枕されている事に気付き、慌てて起き上がった。

「!?」

「ふふ、お目覚めですか?」

「いや、その……ごめん!」

慌てて謝る蓮。

「気持ちよさそうに眠っていましたよ。」

と微笑む希。

蓮はただ赤面するだけだった。


夕方、蓮は希をある所に連れて行きたい誘った。

二人が向かった先は学校の屋上だった。

「ここって……。」

「うん。

 俺と女神が初めて会った場所だよ。」

そして蓮は希の方を見る。

「俺が今こうしていられるのは全部、女神のおかげだよ。

 女神と出会っていなければ俺はもう……。」

「神島さん……。」

「だからずっと言いたいって思ってたんだ。」

そして蓮は

「ありがとう、希。」

と初めて下の名前を口にした。

「それで、これからは俺の大切なパートナーとして......、そばにいてほしいんだ。」

「え?」

蓮はそこまで言うと覚悟を決めた。

「好きだ。

 希。」

「!!」

いきなりな事に驚いたものの希は笑顔で頷いた。

そして希も

「私も、ずっと蓮君の大切なパートナーでいさせてください。」

と伝えた。

蓮はコクリと頷く。

お互いに微笑みあった二人はそのまま抱きしめ合い、キスをかわした。


聖徒会 完


この話は今回で最終章となります。

お互いの大切なパートナーとなった蓮と希。

二人の幸せを願うばかりです。

最後まで読んで下さった皆様、本当にありがとうございました。

また作品を書くことがあったら、どうかまたよろしくお願いいたします。

ノシ

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