12話 トラブル発生
「それじゃあ今日は学院の案内をするわよ、昨日班に分かれたと思うからそのメンバーで各班で行動してかまわないわよ。お昼になったらみんなの実力を見せてもらうから第4訓練場にきてね。」
班行動か、まだ会話したこともない奴らも一緒だったら気まずかったしな、良かった。
「んじゃあ俺達の班も行くかー?」
後ろにはもう第10班の面子が揃っていた。
「お前がしきんのか」
サモンが突っ込むがライドは
「まーまーいいじゃねえか、カズトもリーダー苦手みたいだしよ、こーゆー時は相棒の俺がやるしかないだろ!」
流石ライド、気が利く。
「ああ、頼む。なんか人の上に立つってのは嫌いでさ、ライドがいてくれて助かったよ。」
そんなこんなで俺達は順調に学院内を見て回った。
「ここは?」
「ここはギル先輩たちがいる生徒会室みたいだな。」
「こっちは?」
「んと、東洋の格闘技をするとこだな」
東洋の格闘技…この世界にも武道とかあるんだな。逆に格闘で目指すのもありかな…。
「お、そろそろ時間だな。」
サモンが時計を見て教える。
「みんな移動してるみたいだし私達もいく?」
「そうだな。いくか」
俺達は第4訓練場に向かう途中なにやら大きな声が聞こえてきた。
「おい姫はどこだ!探せ!このグラドリア公爵家の息子が命令してるんだ!早く探さないか!」
おいおい、この学院で身分を振るのかよこいつ、少し言っておくかな。
「何をお探しでしょうか?」
俺はイライラしているその貴族に問うてみた。俺の予想では貴族の権限をつかうだろうな、案の定そいつは期待通りの反応をしてくれてる。
「貴様、この私がグラドリア公爵の息子だということを知ってその口をしてるのか?」
「いや、知りませんけど、それよりも何か姫を探しているようですが…」
「まあな、私の婚約者が他の男と婚約を交わしたようでな!私はその姫を問いただすために探しているのだ。」
姫…まさかとは思うが…
俺はカナの顔を見る
「…!」
お前かよ!ったく、俺のいない間にこんな奴と婚約を交わされたのかよ…
「!見つけたぞ!カナ・レイクロウズ王女!!さあこちらで話を聞かせていただきましょうか!」
俺の存在をいないかのようにずんずんと進んでいくこいつはカナの腕をガッシリと掴んで連れて行こうとする。
「ま、待ってください!」
「待ってなどいられるか!このグラドリア公爵の息子アイン・グラドリアを無視しておいて我慢できるか!」
そのとき俺の中で何かが切れた。
「その手を離せ」
俺はアインの腕を掴んで進行を止めた。
「何だ貴様。この私の前を防ぐので有ればただでは済まんぞ」
「できるもんならしてみろよ。ここがどこなのかも考えずにしたことを」
「ふん!学院の決まりのことか?あんなものどうでもいい。私の実力は貴様よりもはるかに上にいるんだからな!」
こいつ何も知らないのか?
「ぷっぷふw」
ライドが笑いを堪えている。確かに笑えるな、笑いを通りこしてイライラがたまってきた。
「そんなのはここの院生であるならば貴族らしく高貴な行動をしてほしいもんだな、公爵家の七光りさんよぉ」
アインの顔は見る見る内に赤くなりまるでトマトのようだ。
「貴様私を愚弄したな…いいだろう貴様!叩き潰してやる!」
なんでこんなに上から目線なんだよ
「いいけどまずその手を離せよいい加減離さないと…」
不機嫌そうにカナを腕を放す。
「じゃあどうするんだ?模擬戦で決着つけるか?」
丁度ここに訓練場あるからもってこいだろ
「いや、貴様徹底的に叩き潰す!私と決闘しろ!」
決闘、学院や冒険者の中で行われる生死を纏ういわば殺し合いだ。相手が貴族や王族であれど決闘で敗れた者は人権を奪われる最悪の戦いだ。
「いいよ。今からやるのか?」
「当たり前だ!貴様を徹底的に潰して死よりも苦しい人生にしてやる!第一闘技場で15時からはじめる!逃げるなよ!」
逃げねえよ。
そういってアインは取り巻きとどっかにいった。