侍は滅びない。4
小さな頃から親に、色んな武道をやらされた。物心がついた時には、胴着を着こなしていた。
そんなに強い方ではなかった。でも、
「てぃやぁ!!。」
「どわぁ!。」
蹴りをミットで受け止めた相手が吹き飛ぶ。
これくらいのことはもう朝飯前である。
しかし、まぁ、格闘ができたところで、戦争に、兵器が出てきたところで、一騎当千はありえない。
意味がないとは言わないが、近松由太郎より体力の成績がいいやつなんて何人もいる。
所詮バカの一つ覚えである。
まぁ、そんなわけで、それにしても・・・。
それにしても、あれだ。やっぱり男ばかりで毎日訓練は疲れた。
毎日毎日、筋トレ、訓練の繰り返し。
「おい!。きいたかよ近松!。」
「・・・え?。」
体育館での格闘訓練の休憩中、角で座っている近松に、友人の一人が言った。
「なんだよ、きいてなかったのかよ!。次の野外訓練、女子もくるらしいぜ!。」
この駐屯地には、女子もいる。
しかし、大抵の訓練は男女別々だし、勿論、寮もちがう。
会うとすれば、集会くらいである。
「へぇ・・・、珍しい。なんの訓練するん?。」
「それが、夜間訓練だってよ・・・。」
「・・・夜間。夜間か。え、お前なんか期待してんの?。」
「ばぁか。しなくちゃ今はやっていけねーだろ!。」
友人が近松の肩を叩く。
近松は答えるように少し笑う。
「そりゃそーだ!。」




