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第1章-第3話 いめーじあっぷ

お読み頂きましてありがとうございます。

「長い間、不遇にしてすまなかった。これからは、本来の業務をバリバリとやってほしい。」


 俺がそう声をかけたのは、ある精肉店で働いていた元従業員達だ。この人達は、牛肉の目利きのプロであり精肉のプロだ。


 牛肉には、かならず繊維が含まれている。その繊維質を真横から精肉すれば柔らかいお肉になるし、同じ肉を繊維に沿って精肉すると硬い肉になる。この精肉店では、A2等級の肉を彼らの技術でA3・A4と同等の柔らかさにして、A3・A4として偽装して以前摘発されたのだ。


 俺は、その精肉店が経営するレストランをよく利用していた。一流レストランでもなかなか出てこない品質の牛肉が廉価で食べられたからだ。摘発後、彼らが就職口に困っているという話を聞き、スカウトに行ったのだ。すでに牛丼のスキスキのFC契約を行ったあとくらいのころで、将来、国産牛の牛丼チェーンに業態変更して、彼らの技術を使っていくつもりだった。


 それまでは、他の従業員と同様に各職場で活躍してもらっていたのだ。


 それが、牛丼のスキスキのセントラルキッチンに派遣という形で、牛丼用国産牛の精肉を担当してもらうことになったのだ。最終的にはセントラルキッチンの従業員にも彼らの技術を学んでもらい。国産牛のみならず、外国産牛肉も最高のレベルに引き上げる予定だ。


 国産牛の牛丼は1杯500円の設定で、原価125円が目標だ。その内、牛肉にさける金額は、わずか80円。それでは、最高品質でA2等級の牛肉が2キレが限界だ。その分、たまねぎを多めにすることでボリューム感を出している。


 それならば、その2キレの牛肉は何が何でも柔らかく美味しい牛肉である必要があるのだ。


 そこで彼らの出番なのだ。


「いえ、私達も社長に拾って頂けなければ路頭に迷っていたところでした。あの偽装事件では地元の人間からは総スカンでした。履歴書に記載のあの店名を見ただけで、精肉店どころか一般のアルバイトさえも雇って頂けませんでしたから・・・。」


 こうして、国産牛の牛丼を発売する目途がつき、あとはアメリカ産、オーストラリア産、中国産の牛肉を使った牛丼の値段設定だ。


 中国産に関しては、仕入れ自体は、他の国よりの半額くらいで仕入れられるのだが、何分物騒なため、流通経路に5箇所ほど検査を挟むようにしたところ、売価で10円下げるのが精一杯だった。他の2ヶ国は今までどおりの350円だ。


 店舗に掲げられた昨日の国別売り上げ数がよかったのか?HPで案内していた。リアルタイムの国別の売り上げ数の表示がよかったのか?連日、各店舗は昼食・夕食時にかぎらず満杯で掲示板サイトでは、専用のサイトまで立ち上がり、おお盛り上がりになっている。


 報告によると、国産牛が1番人気で、あとは2・3・4は僅差である。特に国産牛が4キレ乗った得盛りが人気らしい。


 俺も、かなり試食してあのトロけるような食感は今までに味わったことのない旨さだ。と、記者会見でぶち上げてみたが、今までチェーン店の牛丼しか食べたことがない人間にとっては、決して言い過ぎではないと確信している。


 意外と中国産も健闘している。当初の予想では、アメリカ産と値段が大差がないので圧倒的に不利だとしていたのだが、1番を取る店舗もあるのである。


 どうやら、たとえ10円であろうとも同じ牛丼なら安いほうがいいという価値観を外国人を中心に、同じような考えを持つ人々が集まっている区域があるようなのだ。


・・・・・・・


 牛丼のスキスキの人員整理は順調に推移している。給料体系を本部より店舗作業者に有利にしたせいか?それとも、正社員の給料の一律カットとボーナス返上をさせたせいか?正社員がゾクゾクとやめていった。


 さらに本部の社員よりも店舗経験者を上位の職につけ、本部の社員を店舗に派遣したところ、さらにやめていく者が出ている。余程、店舗業務を見下していたらしい。あとは残り1割というところだ。


 Ziphoneの子会社の太陽光発電の会社と共同で、郊外店の牛丼のスキスキの屋根に太陽光発電機を設置した。昼間の店舗の電力使用量を上回る発電量で各店舗には、今日の発電量を掲示してイメージアップを図っている。


 元々、子会社の太陽光発電の会社が、発電機メーカーから大量仕入れをしているため、発電機本体の価格は家庭用に比べ約半額になっており、メンテナンス会社も巡回警備会社を元に自前で用意した。


 店舗の電力使用量を上回った部分は電力会社の送電線網を使い、太陽光発電の会社に集められ企業向けに売電される予定で、およそ5年でペイできる計算だ。太陽光発電の会社も扱う電力量のアップが企業に売る場合、有利に働くらしい。


 尚、FCには強要はしていないがおよそ4割の店舗で導入するようだ。もちろん、山田ホールディングス社の屋根付き店舗では全店舗導入するつもりで、関東地区のメンテナンス会社も自社の担当とさせて頂いた。これで、近い将来、太陽光発電機を異世界に導入することも可能かもしれない。


 他の4社の経営統合はCOOの指揮の元、殆ど完了している。あとは、事前に余力を持たした社内システムを牛丼のスキスキへ導入するつもりだ。あとは、牛丼のスキスキを統合できれば終わりなのだが、CEOの話ではTOBで完全子会社化をしてから行うことになった。

当分は、異世界側もニホン側ものんびりした話が続く予定です。

飽きさせないように頑張りますので、どうぞお付き合いのほどよろしくお願い致します。

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