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第8章-第82話 かいてんじゅんび

お読み頂きましてありがとうございます。

 あの場では、ああ言ったが案の定、こっそりカメラを回していた記者が居たらしく、簡単な警察の聴取の後で社用車に戻り見た番組の中で紙飛行機が、店内を悠然と飛んでいる姿が映っていた。これだけ、脅しておけば、そうそう事件を起そうという輩はでないだろう。


 社用車で競技会場に戻ってきたときが、丁度決勝戦だった。見事にさつきは勝ち残っていた。ちょうど第1ピリオドが終了したところで、4対4の同点だった。客席に戻り、さつきのほうへ手を振る。微かに彼女に笑顔がこぼれた。


 第2ピリオドの中盤に差し掛かったところだった。両者の剣が交差する内に、相手の剣が折れ、さつきのお腹に真っ直ぐ突き刺さった。いや、突き刺さったかのように見えただけだった。オリハルコン鋼のユニフォームが折れて尖った剣に負けなかったのだ。


 まあ、そもそもフェンシングで使う剣は、それほど硬くは無いが折れて尖った先でケガをする選手が多いという話もあったので、今回オリハルコン鋼を使ったユニフォームを用意したのだ。それが役に立った。


 試合会場は一時的に騒然となったが、さつきにケガが無いことが解かり試合が再開する。替わりの剣を持った相手の選手が動揺したのか、あっさりと第2ピリオドで11ポイント先取したさつきが優勝した。


・・・・・・・


「この後どうするんだ?」


「どうするって?」


「護衛だよ。この大会で優勝したから、オリンピック強化選手だろ。フェンシングに打ち込むんじゃないのか?」


「それは、やめろというつもりですか?」


「いや、そうは言っていないが・・・。オリンピックに出ないのか?」


「出たいけど、この仕事は辞めたくないんです。」


「両立できると?そんなに甘いのか、オリンピック選手というのは?それに合宿に参加しないと資格が貰えないんじゃないのか?」


「よっぽどの例外じゃなければ、そうです。」


「その例外になるつもりなんだ?オリンピックへの参加は事前に言ってくれよ。その時は会社を挙げて応援に行くぞ。」


「ありがとうございます。」


 ちっ、失敗か。オリンピック強化選手なら自動的に辞めてもらえると思ったんだがな。しばらくはアキエの相手も必要だし、仕方がないか。


 なにも、さつきが嫌いなわけじゃない。その先にあるZiphoneの後継者という椅子があまりにも俺に不相応だ。それにまだ十分に俺の会社の従業員を幸せにできていないというのに、その対象の分母がおそらく数十倍いや百倍以上に広がるというのだから尻込みもしたくなる。


・・・・・・・


 自社に戻り、うなぎ料理店の予約状況を確認すると昼の部どころか夜の部も全て埋まり、予備としてあった夕方も半分くらい埋まっていた。調べてみると、招待状を出した約9割の客が予約していたのだ。


「招待客以外の反応は、どうだ?」


「はい、テレビ局からの問い合わせも2件ありましたが言われた通り、店の前までの撮影許可としましたが、本当に良かったのですか?」


「ああ、招待客は有名人ばかりだから本当は排除したいところだ。道路に面しているから通りの向こうから撮影されるぐらいだったら、店の前での撮影くらいで我慢してもらおう。」


「それから、料理研究家は著名な方から自称まですべて排除しました。」


「うむ。それでいい。他に招待客以外に無理にねじ込もうとしてきた奴はいるか?」


「自称ゴン氏の知り合いとか自称ゴン氏の親類とか言ってきた方は、いらっしゃいましたがゴン氏に数部招待状を渡していますからとご回答しましたら諦めたようです。」


「会員証は出来上がったか?」


「はい、スミス金属でミスリル鋼にICタグを埋め込んだものを作成してもらい、ミスリル鋼とICタグのダブルチェックができる機械も到着済みです。さらに、ご本人様のZiphone製スマホでICタグ読み取りして、予約ができるアプリも配布を開始しております。」


「よかった。間に合ったか。アプリのほうは、どんな出来だ?」


「はい。設計・開発よりも評価に資金をつぎ込んだせいで、動作は完璧です。」


「当日招待状に記載してあるご友人以外は、決して入れないようにそしてご友人のスマホで即座に会員登録できるシステムも出来上がっているか?」


「はい、Ziphone製でのみできるようになっております。」


「まあ、それがゴン氏の唯一の条件だったからな。システム製作代も向こう持ちだったから特に問題はないのだが。」


「よろしかったのですか?そのご友人が他社製のスマホをお持ちだったときは、得意先をお1人失うことになりますが・・・。」


「かまわん。元々がゴン氏の知り合いだ。そんなことで文句を言う人間は、いないだろう。自社に会員証が欲しいという社員は、居たか?」


「ええ、契約社員以上は全て欲しがっておりまして、プレオープン1ヶ月後を目途に配布するつもりです。予約も総務まで言えば時間外の予約は取りやすく、社員割引価格ですので安く提供できるので、もう予約の問い合わせまで入っています。」


「社員割引といえど4000円の5割引が限界なのが申し訳ないのだが、そうかそんなにか。社内で行った試食会もなかなか、好評だったしな。」


 結局、丸々うなぎ1匹分が解かるように頭も尻尾も付いた状態のうな重を4000円、異世界のお米を使用したものを7000円、う巻き付き長焼き定食を4800円、夜の部のみ、白焼き3000円、肝焼き1000円、うざく1000円、う巻き1000円、あとお酒類を提供する。


 うざくやう巻きは、近くの料亭で作ってもらう予定だ。そこの料理長が招待客の1人で、ゴン氏の昼食会で出したうなぎに惚れこんでくれたのが縁だ。


 お酒類は、辛口純米酒、辛口白ワイン、生ビールを適価で提供する。あくまでメインは、うなぎなので、お酒で利益を得るつもりはないし、1人に提供する量も決めさせてもらう。


 流行のひつまぶしは、ゴン氏が嫌がったので提供しない。まあ、発祥の地である三重県津市の人間は、思うところがあるだろうが招待者の中にいないことを願うばかりだ。


・・・・・・・


 翌日、召喚の時間きっちり30分前には、さつきが来た。しかし、その後30分経過しても1時間経過しても、召喚の合図である指輪が光らない。スカイペでセイヤのスマホに連絡してみるが、繋がらない。いったいどうしたって言うのだ。


いつも評価して頂きましてありがとうございます。


いよいよ、明日から王族編のクライマックスです。


メニューには、1匹分と書いてあってもムナビレの部分がないものとか多い、今のうな重。昔はお重からはみ出したり、ご飯の中に1切れ入っていたりしたもんですけどね。最近食べた中では、名古屋市大須アメ横の100年以上続く老舗の特上うな丼くらいかな。ちなみに2700円。異世界のうな重高い!!


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[一言] 「はい。設計・開発よりも評価に資金をつぎ込んだせいで、動作は完璧です。」 せい?おかげでは?
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