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第8章-第78話 しっぱい

お読み頂きましてありがとうございます。

「げ!」


「社長、あぶなーい!」


 目の前では、さつきさんがちょうどドアを開けた瞬間であり、護衛としての判断スピードなのか次の瞬間には、こちらに向かって飛びついてきた。その瞬間に召喚特有の視界が揺らめいた。


・・・・・・・


「なんで、転がっておるのかのう?」


 2人で転がった状態で召喚された。とっさに途中さつきさんが亜空間に置き去りにされることを心配して、こちらも抱きついたのが良かったようだ。格好としては、俺がさつきさんを下敷きにしており顔はちょうど胸のあたりにある、いわゆるラッキースケベであろうか。


 そんなことを脳裏に過ぎったのは一瞬であったが、さつきさんも突然視界が変わって硬直しているのか離してくれない。そのまま、感触を堪能したかったが声をかけることにした。


「さつきさん、大丈夫か?」


「ここはどこ?貴方はだあれ?じゃない、社長大丈夫ですか?」


 一瞬はポカンとしてセイヤを見つめていたが、次の瞬間には護衛としての任務に目覚めたのか。腕を離して、俺の顔を覗きこんできた。


「大丈夫だ。」


 俺は答えながら、どう説明すべきか悩んでいた。もう遅いが釘を刺すだけ刺しておこうか。


「俺は、土日はプライベート時間だから、護衛はいらないと言ったと思ったが・・・。」


「はい。今日は、洋一のところへこの会社の状況などを聞きにきたのです。そうしたら、社長が出勤していると受付で聞いて、挨拶に伺ったところでした。」


「て、スパイ?」


「いえ、護衛するのに必要な情報収集ですね。そんなに信用できませんか?」


「トム、もういいかね。」


「陛下すみません。では降りていきましょう。」


「へ・・いか?」


「さつきさんも付いておいで。」


・・・・・・・


「さつきというのか。その方、トムの嫁志望かな。」


 セイヤのやつ、聞くにことかいていきなりそれを聞くのか?


「陛下、違います。全く連れてきた女の人を嫁呼ばわりするのは、止めてください。」


「社長。もしかして、知らなかったのですか?父は、私と結婚させようとしてることを・・・。」


「え!本当に?」


「ええ一族に取り込み、本当に後継者にしようと裏で動いていますよ。」


 なんか、とんでもないことを聞いた気がする。


「さつきさんは、嫌じゃないのか?」


「それは、あの人の子供として生まれてきた以上仕方が無いことと諦めています。もう十分に自由にさせてもらいましたしね。」


「そうじゃなくて、俺の嫁になることは、嫌じゃないのか?」


「そうですね。今の時点だとぎりぎり合格点ですかね。」


 なんか打算的だな。


「洋一さんは、どうするんだ。まだ、好きなんだろ!」


「そ、それは、き、嫌いです。あんなひと。」


 視線を合わせようとせず、そう言ったところをみると嘘かもしれない。少なくとも嫌いでは、なさそうだ。


「社長は、私では嫌ですか?Ziphoneグループは、魅力的ではないですか?」


「ゴメン。両方とも考えたことは無かった。それに複雑な事情があるので、正妻にはできない。」


「それは、社長が王族で既に決った正妻を持っているということですか?」


「なぜそれを・・・。」


「こちらの方を陛下と呼んでらしたのに、こちらの方はトムと呼んでらしたこと、ここは王宮という感じですし、侍女らしき人物までいらっしゃる。そこに自由に出入りできる男性となると、普通は王族か執事かといったところ、他に男性らしき姿がないことをみると王族しかないかなと。」


 ぐはっ、あの一瞬で全て読み取られるとは、もう正直に話すしかあるまい。


「そうだ。それで間違いない。」


 もちろん、エトランジュ様との一件は恥ずかしいので話さなかったが他の異世界の話を大まかに説明した。


「そのマイヤーさんが正妻なんですね。では、日本側の妻の座は、空いているじゃないですか。おそらく、それで問題は無いと思いますよ。信子さんを除いて3人の方に求婚されておいででしたが、この世界は何人でも愛人を持てるのですか?」


「わからん。セイヤ、どうなんだ?」


「愛人に関しては、制限はないのう。妻なら王で8人まで、他の王族で5人まで持てるぞ。ただ、今はトムには多くの子孫を残してもらう必要があるので、それ以上持ったとしても、何も言われないだろうし、言わせないのう。」


「だそうだ。おそらく、こちらの世界でもあと何人かの女性と関係を持つことになると思う。日本の倫理観では、無理ではないかな?」


 一縷の望みを掛けて説得を試みるがあっさりと打ち破られた。


「それで言うと、私なんか生きてはいけない存在だし。父も正妻には、子供ができませんでしたが、外腹には6人の子供がいますので・・・。」


 そうか。彼女は愛人が生んだ子供を正妻が引き取って育てたのか。もうこれ以上、突っ込んで、彼女を傷つけることになるよりは、こちらが引き下がったほうがいいだろう。そうか、Ziphoneの後継者か・・・。


 幸せにすべき従業員の数が格段に広がってしまうな。あとは、ゴン氏を説得するしか手段は無いのか。


・・・・・・・


「では、これからは妻候補として扱うことにするのう。トム、別館は使用するかの?」


 まだ、洋一さんの気持ちを聞いてない。2人は正式に別れているから、寝取ったとかどうのということはないが。自分の従業員と気まずい思いをするのは、勘弁してほしい。


「いえ、どこか客室を用意してもらえますか?」


「ああ、わかった。そう手配しよう。でもマイヤーと顔合わせは必要だぞ。」


「そうですね。2人で行ってきます。」


「念のため、ヤンを連れて行け。今度は武装解除させて連れてくるのう。」


さあ、マイヤーの反応は?

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