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第8章-第74話 ぎるど

お読み頂きましてありがとうございます。

 うなぎ工場では、狼王国のレベル4の料理人が待遇改善を申し立ててきた。現在、この料理人の担当は、うなぎの下焼きで、それを槌屋さん、モモエさん、狼王国のMAXレベルの料理人がカバヤキに仕上げていく。


 多少の失敗作は出るものの、他のレベル2の料理人がキッチンタイマーを使ってしている作業と大差ない。逆にレベル2の料理人達が行っている、裂き・串等の下準備の作業は経験していないので他の料理人と比べると使いづらい。


 元々、この料理人は狼王国で宮中料理人と腕を振るった経験があり、酷くプライドが高く、MAXレベルの料理人に技術が負け、扱いが変わったのが気に入らないらしい。


 レベル2の料理人の倍の給与を支払っている。さらにアップとなるとコストに見合った成果が出なくなるため、槌屋さん、モモエさんと相談したところ雇用しなくても他のレベル2の料理人の作業を標準化を進めることで直ぐにカバーできるという結論に達した。


「どうだ。こちらとしては、辞めてもらっても構わない。但し、そちらで辞めることを選択した場合、国としても難民指定は外させてもらう。もちろん、難民用簡易住居も出て行ってもらいたい。君は狼王国の難民としては、かなり待遇がいいほうなんだが。さて、どうするかね。」


「・・・・・・・アオゥー。アオゥー。」


(解かりました。辞めたくありません。)


「待遇改善の申し立てることに関しては不問にするが、他の料理人につらく当たった場合は、即座に解雇を申し渡すから、そのつもりで。」


「アオゥー。」


(解かりました。)


「そして君たち、他の料理人にも言っておく。給与以外の待遇改善も考えているがチバラギ国として、君たち狼王国の難民を受け入れること自体が慈善で行っているということを覚えていてほしい。よろしいかな。」


「「「「アオゥー!」」」」


(はい!)


 モモエさんの話では、狼王国の料理人のみに対する斡旋が問題視されておりチバラギ国の料理人の雇用の話もチラホラと聞かされているらしい。モモエさんが計算したところ、チバラギ国の料理人を5人くらいまでなら受け入れられると報告された。


・・・・・・・


「ああ、その件かのう。結構突き上げられておるのう。」


「モモエさんの話では、受け入れ可能と聞いているが、できれば明日面接できるように手配してくれないだろうか。」


「わかった手配しておく。ようやく、まともに話せたのう。」


「なんだ!言い訳でも聞かせたいのか?そんなに心は広くないぞ。どうせ、カバヤキやすっぽんが効果を発したんだろ。スタミナ食だからな。」


「・・・・・・。」


「なんだ!図星か?」


「ああ、宮中薬師に作らせた催淫剤でもどうにもできなかったのに、この年になって昂ぶりが制御できなくなるほどになるとは・・・。しかも、1回では満足できなくて・・・。」


「や、やめてくれ。生々しすぎる。」


「そうか?エトランジュも言っておったぞ。身体の芯から湧き上がるような情熱が・・・。って。」


「すまんすまん。セイヤ。冗談だ。勘弁してくれ!召喚して貰って感謝しているよ。そして、おめでとう。」


「本当に怒っていないのか?」


「ああ、本当だ。浮かれていた自分が少し恥ずかしいだけさ。」


・・・・・・・・


「というわけなんだ。セイヤって酷いだろ!」


 あれから、マイヤーのところまでやってきている。


「よかった!」


「なにが?」


「だって!エトランジュ様とのことは、確定事項だから。いつか、睦事を聞かされるハメになるんじゃないかと不安だったの。これで、永遠にないわ。」


「お前、何気に酷いな。そうか、そうか。2年間放置してもいいのか?パリスさんの例をみるとそれが普通なんだから・・・。」


「嫌よ!ダメ。許さないんだから。毎週通ってとは、言わないけど1ヶ月に1回くらいは、顔を見せてほしいわ。」


「ああ戦争でも始らないかぎり、通うけどな。だから、ちゃんと慰めろ!」


 その後、キス以上はできなかったが、久々のマイヤーとの逢瀬を楽しんだ。


・・・・・・・


 翌朝、チバラギ国の料理人の面接を俺、モモエさん、槌屋さんの3者で行った。基本的に俺は指輪の『鑑』を使い、狼王国の料理人に対して悪意を持っていないかを確認した。他の2人で具体的な料理人としての質問などを行った。


 意外と悪意を持って面接に臨んできている人間が多く、特にレベルが高い人間ほど簡単に態度や言動にそう言ったことを表す人間が多い。セイヤには、できるだけそういった人間を排除する旨を伝え、了承を得ているが料理人ギルドから推薦をうけた人間から最低限1人は選ばなくてはいけないのが辛かった。


 結局、料理人ギルドからは、レベル4の料理人を他にレベル2の料理人を3人採用した。


「これから、1ヶ月は試用期間だ。もし同じレベルの他の料理人よりも著しく腕が落ちると判明した者や学習意欲の乏しい者、そして他の料理人に対して攻撃した場合は解雇されると思いたまえ。わかったかな。」


 皆、一様に頷く。


「尚、人族の料理を作る仕事だ。その分君たちが有利であることは確かだ。それをよく肝に銘じてくれ。私からは以上だ。」


・・・・・・・


 母との逢瀬は、非常に芳しくなかった。その日の昼前に発表のあったはずの王妃懐妊のことを聞きたがったためだ。そのほかにも、マイヤーのこととか。どうやら俺の周りに居る女性のことを知りたいようだった。まあ、それも母親としての習性なのだと割り切った。


 でも、そのギラギラした瞳をみていると、なんとなくマイヤーが妊娠していることやアキエのことなど、本当に話したかったことは、うまく伝えられなかった。


 唯一、成果があったのは、母と行ったランチにうなぎのカバヤキが一品として出てきたことだ。他の客の反応は意外と受けは悪くなく、浸透しつつあることが伺えた。


「あれっ、お母さんって、カバヤキ大好きだったよね。」


「え、ええ。この年になるとあまりくどいものを受付なくなったのよ。ゴメンね。あなたが、この国で作っているものだと知っているんだけどね。」


 まあ、10年近くも経つんだし、味覚が変わってもおかしくはないけど・・・。


いつも評価して頂きましてありがとうございます。


何気に虐められる回?

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