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第6章-第59話 のんびりと

お読み頂きましてありがとうございます。

 昼食は、そばとそばがきの両方がでた。大人たちには、そばがきは好評だったが、アキエにとっては、ナニコレ?って感じだったらしい。モモエさんの作ってくれたザル蕎麦を美味しそうに食べていた。


 ほかにも、ちちたけと茄子の煮浸しや、つぶつぶアンコに絡まったかぼちゃのいとこ煮、つくしのごまあえ、そして、栗ご飯と、この地方でしか食べられないものがどっさりと出てきた。


「ヤマイのおばあちゃんのごはん、美味しいよね。アキエ、もう一杯ほしいな、栗ご飯。」


「ハイハイ、大丈夫、半分にしとこうかね。」


「もう、たべられるよー。」


「もっと、食べられそうだったら、また、よそえばええ。まだたくさんあるからね。」


「うん。」


 アキエは、ザル蕎麦を食べたあと、栗ご飯も結局2杯食べてしまった。流石にお腹いっぱいなのか、直ぐにお昼寝が始ったが、それはご愛嬌だ。と、言っても、アキエの食欲に釣られてセイヤもエトランジュ様も食べすぎたらしく、アキエの隣でいっしょにお昼寝だ。


「アキエちゃんもいっぱい食べるようになりましたね。それに元気になった。この環境が合っているみたいね。うちに来たころは、食も細くてね。まあ、仕方が無いんだろうけどね。」


「ありがとうございます。モモエさんのお陰です。」


「嫌だよ。改まって。元々を言えば、うちのバカボンが・・・。」


「もう、それは言いっこなしですよ。モモエさんはモモエさんなんですから・・・。」


 ん、モモエさんが、じっと、俺の顔を見ている。


「なんですか?なにか付いています?」


「いや、そんなこと、言われたことがなかったもんだからさ。外ではどこにでも、居るオバさんだったし、うちではツトムのお母さんやってたから、モモエさんなんてね。なにか自分じゃないみたいで・・・。」


「大丈夫ですよ。モモエさんにも、きっと、モモエさんをモモエさんとしてみてくれる人が現れますよ。すみません、なんか、わけが判らないですね。」


「いいえ、ありがとうございます。なんか、本気でこっちで永住しようかなって気に、なってきました。」


「それは、ありがとうございます。心強いです。まあ、工場長兼総料理長ですからね。お給金は弾んでおきますから、そこは安心してください。そういえば、槌屋さんは何処に住んでるか知ってます?お店の代金すべて、こっちの通貨で渡したのだけど。」


「ふふふ、あの人ったら、工場に泊り込んでますよ。全く、無頓着ですよね。もう大人だから、1人でどうとでも出来ますよ。そんなところまで、心配しなくても大丈夫です。」


「仲良く・・・いや仲良くは失礼ですね。うまくやっているみたいですね。」


「ええ、おかげさまで、あんなに罵り合って別れたのに、あんなふうに会話できるとは、思わなかったわ。」


・・・・・・・


 モモエさんは、もう夕飯の支度に掛かるというので、俺は、セイヤを誘って散歩に出ることにした。まあ、散歩という名の護衛がゾロゾロと付いてくるのは、目に見えているが・・・。もちろん、マイヤーも離れて付いてきている。


「ココも俺、来たことがあるかな?」


「そうですね。皇太子一家でご静養というのは良く聞く話だったから・・・。」


「セイヤはそのとき、一緒じゃなかったの?」


「そうですね。うちの親は、避暑なんて怠け者のすることだ。なんていう類の人間だったから、国王になってからですよ。避暑に来たのなんて、ただ、初めは興奮しましたがね。何にも無くてがっかりですよ。」


「何を期待していたんだ?」


「トムの使っていた寝室とか、トムの使っていた食器と・・・あ・わわ・・。」


 俺の冷たい視線に気付いたのか途中で止めるセイヤだった。


「もしかして、俺ってセイヤに直接対面したのって、1度キリ?」


「そうですね。お互いの親がいつも一緒で、ほとんど言葉を交わしたことも無く。遠くからみるばかりでしたね。」


 へえ、最初に会って、いきなり、キスしたんだ。ほっぺだけど。


「なんで、そんなに冷たい視線なんです。」


「いや、1度キリしか合ってないから、忘れたのか。それとも、なにかあって忘れようとしているのかと思ってさ。なんで、覚えていないのかな。そのとき、なにかしたか?」


「あ・あいさつしただけだよ。」


「なんで、そこでどもるかな。余計気になるだろ!わかった、わかった。もうこれ以上追求しないよ。」


 蛇でも出てこられちゃ困るからな。こっちも人づてで聞いているだけだし、100%思い出していないんだし。


「セイヤって、そんな言葉使いもできるんだね。いつもは、作っているのか?」


「うん、人前では、ゆっくり貫禄たっぷりに話さないとな・・・。俺の一言で人生変わる人間もいっぱい居るから。」


・・・・・・・


「ほら、そこでは、川魚が手づかみでとれるんだぞ。」


 それにしても、変わり過ぎだろ。ガキ同士の会話みたいだ。なつかしいぞ。この感じ。


「やな、だな。川の水を堰きとめているんだろ。向こうにもあったよ。こんなにたくさんは魚がいないけどな。」


「アキエちゃんを連れてくればよかったな。」


「うん、また、明日くればいいさ。それに、毒見役を連れてこないと、セイヤが食べられないだろ。」


「めんどくさいけど仕方がない。それでもトムが来てから食生活がよくなったんだよ。」


「モモエさんが来てからだろ。」


「ん、それもあるな。アキエちゃんが来て、とっても、よくなって、モモエさんが来て、さらに良くなった。日本の食べ物も良く作ってくれるしな。」


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