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第2章-第14話 ばすと

お読み頂きましてありがとうございます。

「このファンデーションは凄いな。」


 スキンケアが終わった俺の顔に下地と呼ばれるファンデーションと肌をくっつける接着剤を薄く塗りつけた後、クリーム状のファンデーションが塗られていく。


 まるで油絵の具をキャンバスに塗り重ねていくような感じである。


「元々は痣や火傷痕といったものを隠すための商品だったそうです。しばらくは日本の最大手のメーカーのモノしか無かったそうですが、動画で美容系と呼ばれる人々に使われ出すと一気に広まり、さらにいくつかのメーカーが出すようになったそうです。」


 デーゲームで日焼けした俺の肌に薄く塗られたファンデーションは元から色白だったかのように顔からデコルテを白く染めている。気になり始めていたシミも跡形もない状態だ。


 トモヒロくんから聞いた最大手のメーカーは今でも化粧品ブランドのトップに輝く老舗中の老舗のメーカーだ。その余りあるリソースを使い、医療用としても使えるファンデーションを開発したそうである。


「『KC』は女性にも受け入れられているそうじゃないか。」


 トモヒロくんが経営する会社には化粧品ブランド『KC』もある。こちらも割と古くからあるブランドで強味は無いがいろいろな製品を安価で提供している。トモヒロくん曰く男性でも肌荒れを起こさない製品の開発に注力しているらしい。


「まだまだですね。この間も友人の肌にニキビができたそうで何が原因か調べているところです。」


 化粧品の開発は本当に難しいらしい。肌にも乾燥肌、オイル肌、混合肌、敏感肌といった多様な性質があり、しかも妊娠といったようなことで簡単に変化してしまうという。


 だからか誰にも使える化粧品はほぼ成り立たない。さらに添付されるモノによってはアレルギー反応を起こす場合もあるということだった。


「万人向けは無理だろう。」


 アレルギーテストはもちろんのこと正式販売前の試供品、コスメ専門サイトでのプレゼントなどありとあらゆる機会でフィードバックされたデータを全て対策しても、使用者が感じたストレスによって肌は敏感に反応してしまうらしい。


「そうですね。特に男性はニキビが出来やすいので、新しい化粧品を試す場合は要注意です。3日で使わなくなった化粧品とかも多いみたいです。もったいないですよね。」


「そうすると、この直接肌に触れる下地は重要な役割なんだな。」


 次に製薬会社ブランドで開発する化粧品は下地が良いかもしれない。コモンのHPポーション入りなら肌が敏感に反応してニキビを生成しようとしても瞬時に治療出来てしまうだろうからな。


「『社長と解らない』を目指すのであれば、このシリコンブラを着けてみては如何ですか?」


 トモヒロくんが胸元をはだけて見せてくれる。そのケは無いはずなのにドキっとするよな。ニタニタと笑っているところをみるとワザとやっているみたいだ。男の娘モードのトモヒロくんはたちが悪いな。


「おいおい。那須くんも居るんだぞ。・・・からかうのも程々にしたほうが・・・良いと思うぞ。」


 既に那須くんの顔は真っ赤だ。トモヒロくんが男と解っても勝手に反応してしまうのは止められないらしい。これは恥ずかしい。俺の顔には出ていないと思いたいところだ。


「これは失礼しました。」


 そう言いながらもシリコンブラを胸から取り外す。那須くんは微動だにしない。ガン見って奴か。


「トモヒロくんは結構胸があるんだな。シリコンブラを着けてCカップくらいか。」


 アキエが小学生くらいのときの胸が現れる。渚佑子よりも少し小さいくらいか。女性ホルモンは接種してないはずなのに不思議だ。


「矯正下着を着けて寄せて上げてを繰り返すとバストアップするようです。まあアンダーは人並みにあるのでシリコンブラを着けるとDカップのブラジャーが丁度いいみたいです。」


「俺は無理だと思うぞ。胸はあると思うがほぼ筋肉だから硬い、シリコンブラを着けても胸が寄らず谷間が出来ないはずだ。」


 ここまでくれば開き直った者勝ちだがただ単に胸の上にシリコンブラを載せましたではトランスジェンダーに見えない。良くてドラッグクィーンか。流石にあそこまで開き直れないぞ。


「あっそうだ。渚佑子さんに『再生』魔法を使って貰うのは如何でしょう。」


 那須くんが閃いたとばかりに提案してくる。『再生』魔法を使えばその部分の筋肉が落ち、脂肪に変化することは何度も渚佑子の『再生』魔法にお世話になっている俺は良く知っている。


 しかしトモヒロくんだけで無く俺の胸の谷間も見たいらしい。谷間に目がいくのは男として理解できるが視線を向けられるのが俺の胸では理解したくない。しかも舞台の上で絡むのは那須くんなのだ。


「だが、それを誰が渚佑子に頼むんだ。俺は嫌だぞ。」


 メイクアップ前とはいえ、化粧した状態で彼女の前に出るのも嫌だが。そんなことを頼んで、軽蔑の視線を受けるのはもっと嫌だ。


「それなら僕が頼んで来ますよ。」


 那須くんはスタスタと扉に向かう。那須くんは渚佑子が怖く無いらしい。勇者だな。いや元から『勇者』だったな。


 扉を開けると手招きをする。どうやら近くに居たようだ。


「胸だけでよろしいでしょうか?」


 どうやって説得したか解らないが冷たい視線も向けられず『再生』魔法を施してくれる。


 自分で胸を揉んでみると確かに感触が変わっている。揉んでも性的な快感は殆ど無い。どうやら女性たちが演技をするというのは本当らしい。知りたく無かったな。


「どうした。まさか揉んでみたいとか・・・解った解った揉むだけだぞ。」


 視線を上げると爛々とした目の那須くんとかち合う。しかも腕が上がり、俺が揉むタイミングで手が動いている。まさか童貞か。


「うわっ。柔らかー。」


 了承してみると直ぐに手が伸びてくる。何が楽しいのか延々と揉んでいる。この感覚は解らんな。こちらとしては二の腕を揉まれているのと大差無い。もちろん演技で声を出してもいない。


 自然と冷たい視線を向けてしまっていた。渚佑子もトモヒロくんも同様だ。


 いや渚佑子は自分の胸と俺の胸を交互にみては確認している。脂肪に変わる筋肉が無きゃバストアップはしないと思うぞ。まあ本人には絶対言えないが。


「もう止めんかっ。」


 延々と10分は揉み続けたところで、強制的に那須くんの手を取り外す。若干揉まれた方の胸が大きくなった気がするのは気のせいだと思いたい。


胸って揉むだけでは大して気持ち良く無いものです。気持ち良さそうに声を出していたら十中八九演技だと思ったほうが良いと思います。

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