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第6章-第49話 かばやき

お読み頂きましてありがとうございます。

「おかしいです。私、ワイバーンの裁き方どころか、蒲焼の細かい作り方も知らないというのに、頭の中からどんどん手順が・・・、出来てしまいましたわ。」


「それも、『料理人』の能力です。裁き方はレベル2になれば、どんな生き物でも裁けるようになります。最大レベルになれば、食べたことがある料理は手順が自然に浮かぶそうです。」


「ちなみにワイバーンもうなぎと同じで生は毒ですが、焼けば毒は消えるのでご安心くださいね。ってこの知識は、いったいどこからくるのか、不思議ですわ。」


「それはレベル3にて習得される知識だそうで、軍ではそういった知識を要求されることが多いため、軍の料理人には最低限レベル3が要求されるそうです。」


「それにしても、うまそうだの。どれ、一つ・・・。」


 セイヤが手をだそうとすると、侍女が押しとどめる。


「いけません!陛下、市井の料理人の料理に手を出してはいけません!」


「毒見、これ毒見役を呼べ。」


「いけません!毒見役を使用できる料理は、貴族以上の方が持ち込んだものだけです。」


「では、この料理は食べれないのか?」


「はい!食べてはいけません。」


「そ、そんな・・・。」


「陛下、モモエさんを宮中料理人にしてはどうでしょう?『料理人』の最大レベル持ちなら、十分その資格があると、思いますが・・・。」


「おお、トム殿、それは名案だ。モモエ殿、そなたを宮中料理人に遇する。よいな!」


 セイヤは必死だ。


「は、ありがたき幸せでございます。これで、よろしいでしょうか?」


「なら!早く、毒見役を呼べ!」


「いけません!王と言えど、緊急に任命ができるのは戦時中のみ。正式に任命後に改めて作ってもらってください!」


「えー、そんな正式に任命しようとしたら最短で3日、料理人など急がない件だと1週間以上は掛かってしまうではないか?それまで、ワイバーンの肉は持つのか?」


 セイヤは情けない顔をしている。


「それは、仕方ありません。まさか、王が国のルールを守りたくないなどと言うわけにはいかないでしょう。そんなことをすれば、国の屋台骨が揺らぐのは必死!」


「それは、無い、無いが・・・。」


「では、まず俺たちが食べて美味しかったので、改めてモモエさんに作ってもらって、それを俺が献上するということではどうでしょうか?」


 このままでは、俺たちも食べられなさそうだしな。


「うーん、それならばギリギリ問題無いですが、今回限りですよ。」


「じゃ、マイヤー頂こうか。」


「はい?食べにくいです。陛下が凝視しているのですから・・・。」


「へ・い・か?邪魔する気ならば、献上しませんよ。」


「わ・わかった!から、お願いするぞ。後宮で待っているからのう。」


 まったく、必死だな。


「ごちそうさまでした。美味しかったです。」


「ごちそうさま。すまないけど、今から作って持ってやってくれるかな?」


「すみません。今から作り直すと2時間くらい掛かってしまうと思うのですが・・・。」


「ああ、そうだろうね。それなら、夕食には間に合うだろう。王妃様とアキエの分もお願いします。毒見役は3割くらいでしたよね。1人前を毒見役が手をつけると考えると4人前は必要だな。4人前でお願いします。」


・・・・・・・


 後宮に戻り、夕食になったので、呼ばれていってみると、そこには蒲焼が置いてあった。


 おかしい・・・2人前になっている。侍女に事情を聞いてみると、偶々、今回、新任の毒見役だったそうで、あんまり美味しくて、つい1人前分食べてしまったそうである。毒見役は2人居り、毒見役が手を付けたものをお出しするわけにもいかず、仕方なしに食卓には2人前分出したそうだ。


「・・・・・・。エトランジュ、アキエちゃん、モモエさんが作った料理だの。食べてあげなさい。」


「アキエ、カバヤキだぁい好き。」


 やばい雰囲気だ。なんとかしなくては。


「アキエ、半分陛下にお渡ししなさい。」


「えっ、アキエ、全部食べられるよ。」


 うーん、アキエに空気を読めというのが間違いか。


「でもアキエ、陛下のことも、だぁい好きだから、あげるね。はい、はんぶんこ。」


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[一言] 冒頭のところ数か所、ウナギを裁く、ではなく捌くですじゃ。
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