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第1章-第1話 仮想空間と金

お読み頂きましてありがとうございます。


やっと連載再開いたします。


週に1回2000字を目標に無理せず連載していきます。よろしくお願いします。

「本当に出馬されないなんて・・・。」


 千代子さんは相変わらずだ。


 怒涛の衆議院議員の4年の任期を終えた。ヴァーチャルリアリティ関連法案やLGBT関連法案を含む高齢化対策法案も全て成立させた。


 もちろん、次回の出馬は見送った。


 一定の役割を終えたこともそうなのだが、渚佑子によれば与野党幹事長間で次回の首班指名で俺の名前を記載する密約が交わされたためだ。


 あいつら、まだ諦めていないらしい。


「まさか。おまえ。また・・・。」


 俺が睨み付けると視線を外してくる。やっぱり、千代子さんが裏で糸を引いていそうだ。今回は渚佑子の『知識』スキルとさつきの調査会社を持ってしても、コイツが関わった痕跡は見つかっていない。


 前回以上に巧妙になっているらしい。


 例の地震もそうだが、数々の自然災害に対応を迫られた俺は全てポケットマネーで賄ってしまった。


 エルフの里謹製のベリーハイレアMPポーション購入でチバラギで得た収入の大部分を使い込んだのだ。幸いにもチバラギでは自然災害が発生しなかったから良かったものの。もう少しで破産するところだった。


 勿論、手を拱いていたわけでは無い。日本の工業製品を導入、近代化をはかっていたのだが、イマイチ実を結ばなかったのである。理由は解っている。急ぎ過ぎたのだ。海とも山とも解らぬものに投資してくれる貴族はおろか商人にもソッポを向かれてしまったのが地味に痛かった。


 実を結んだのはコンクリートだけという有り様である。それでも俺の領地の農地は近代化により収穫が倍増しているから何とか凌げているようだ。後は日本から持ち込んだエアコンとそれを使うための発電設備くらいのものだ。


 打って変わって日本、アメリカ、ヨーロッパでの俺の資産は着実に増えていっており、山田ホールディングス、アルドバラン公爵家、アメリカで設立した電力会社を主とするコングリマットを全て合わせると日本の国家予算を遥かに超える額だ。


 それに蓉芙グループ、Ziphoneグループを加えると世界経済の1割を牛耳った。この力を元に地球連邦設立に向けて活動していくつもりだ。


「明日、洪水が起こったらどうなさるつもりですか?」


 政界引退の記者会見でもこの話題ばかりだ。


「地震、雷、山火事、疫病など自然災害には人類の英知を結集しても誰がたちうちできるというのですか。もちろん予算を取って戴いている自治体様には出来るだけのことはさせて頂くつもりですが皆さんから散々ご批判を頂いている通り、わたくしにも限界というものがございますので、それを踏まえた上でご依頼願います。」


 静岡県民だけでなく、どれだけ多くの国民を救っても少しでも自然災害で被害を受ければ非難の的にされることに辟易していた。だから通常の手段では予算が通らない条件を提示しており、47都道府県あるうちで僅かに1都2県が予算案を通しただけになっている。


 その予算も執行には各県議会の事前承認が必要で、ほとんど使い物にならない。きっと県議会が承認されるころには、自然災害が通り過ぎたあとだろうと思っている。


「これからは経営者の本分を全うされるわけですが、このヴァーチャルリアリティ空間での仮想暗号化マネーの導入、統一とはどういうことでしょうか?」


「お手元の資料に御座います通り、先の国連会議でアメリカ大統領が提議し、常任理事国の会議で承認された地球連邦発行通貨の後ろ盾による仮想暗号化マネーとなっており、ヴァーチャルリアリティ空間での標準通貨となっております。」


 まずは地球連邦構想の第一弾として地球統一通貨の提議が行われ、俺の事前の根回しにより常任理事国が全て賛成に回ったことで一見批判する勢力の封じ込めが成立している。まあ実際には常任理事国以外にも現金やゲートの優先度など俺が扱える権力を駆使して成立させたと言っても過言じゃない。


「もし、主要暗号化マネーであるピコキャッシュ暴落の引き金になったら、どう責任をお取りになるつもりですかお伺いしたい。」


「質問の意図が解り兼ねますね。わたくしが知っておりますピコキャッシュは発行者が同額のドルを保有していると聞いておりますので、その発行者が責任を持って換金してくださるでしょう。」


 昔から言われていることだが、暗号化マネーは国による後ろ盾が無い民間主体となるセキュリティーが高い通貨であるということだけであって、発行者必ず換金できる保証は何処にも無い。もちろん高騰している暗号化マネーを受け入れ換金するかどうかも発行者の自由であり、下落するとしても発行額までが建前になっているというマネーである。


 ただ複数の発行者が居る兼ね合いから発行時期により必ず下落する時期があり、大手投資家は自然に止まるまで待つが個人投資家は耐え切れず大損を繰り返しているだけである。


 ただ発行者も企業であるからには従業員も居り、配当も払わなければならないことから保有するドルが目減りしていないとは限らないところがミソである。


 また世界通貨としての役割を果たしてきたドルが地球連邦通貨に置き換わるならば、ドルにしか換金出来ないピコキャッシュを保有することは将来使えない通貨となり兼ねないのであろう。


「それは独占ということでしょうか?」


「いいえ。私共の技術であるヴァーチャルリアリティ空間で使える通貨ですので、他社が開発されたヴァーチャルリアリティ空間での使用を強要するものでもありません。」



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こちらも宜しくお願い致します。


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