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第11章-第115話 ふかかい

お読み頂きましてありがとうございます。

「助けて頂きましてありがとうございます。」


 真新しい衣服を着た少女が真っ赤な顔で会釈をしている。何処かで見た顔だ。指環の『鑑』で確認した名前には見覚えは無い。


 流石に加害者が被害者の素性を綿密に調べることはできない。渚佑子は何か気付いている様子だったが問い質すこともしなかった。


「ヴァーチャルリアリティー時空間の責任者として当然のことをしたまでで、礼どころか謝らなければならない。申し訳無かった。身体は大丈夫かな。必要であれば精密検査もさせて頂く。」


 こういうときはトップが頭を下げるべきだ。


 渚佑子の『鑑定』スキルを使った見立てでも、何も問題は無いらしいが、本人の精神安定のために検査という形も必要だろう。


「そんなっ。本当に大丈夫ですから。」


 そのとき、玄関でチャイムが鳴る。ようやくゲーム製作会社の責任者が到着したようだ。


     ☆


 精神的苦痛は日本では特に金額に表し難い。諸外国の例よりも随分と低い金額になるのが通例だ。


 従って利益から換算することにしている。つまり、現実世界でゲーム製作会社へ6時間弱の間に入ってきた収入の一定割合を提示させたのだ。


「そんなっ。頂けません。本当に大丈夫だったんですから。」


「これは正統な慰謝料。他にも必要であればあらゆる便宜を図らさせて頂く。正直に言ってこちらとしても、受けて頂くほうが何かと都合がいい。もちろんゲーム内で貴女が不利な扱いがされることも無いはずだ。」


「ちょっと待ってください。彼女があの状況下で死ななかった原因を突き止めないおつもりですか?」


 ゲーム製作会社の責任者は6階フロアに現れた男だった。渡された名刺によると取締役に名を連ねているらしい。


「そうだ。あれが何らかのバグであったとしても、彼女に不利になるような修正を加えることは許さない。あくまで彼女は被害者だ。そこのところを心得るように。ま、彼女のアカウント限定だがな。」


 確かに串刺し状態で全くHPが減らないのは不思議だ。あきらかに何らかの仕様の想定外の事象なのだろう。通常であればメンテナンス期間を決め、修正が必要であろう。


 だが彼女のアカウントに対して、不利な修正を加えれば彼女への救済にならない。問題を見つけ出し、彼女のアカウントを例外とする修正ならば、ギリギリ許せる範囲であろう。


「被ダメージ計算にステータスポイントが関わっているみたいなんです。」


 そのとき、彼女からおずおずとヒントが出された。別に教えなくても構わないのに親切な女性のようだ。


「あっ・・・あ・あああ。もしかして、ステータスポイントがゼロ・・・そうか。リナちゃんはNPC。」


 男から声が漏れる。心当たりが有るらしい。だが不可解な言葉が飛び出す。NPCはノンプレーヤーキャラクター。つまり自動化されたAIが動作させているはずだが、目の前の少女はれっきとした人間だ。どういうことなのだろう。


更新遅くなり申し訳ありませんでした。

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