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第11章-第111話 にやにや

お読み頂きましてありがとうございます。

「ここは?」


 5階に登ると狭い空間に出た。


 いや天井は見えないほど高い。


 どうやら今までの階層と違い、壁方向に90度重力の向きを変更した空間のようだ。これは上位のオブジェクトの基本機能の一つで重力の方向を1度単位で変更でき、重力も0.1G単位で変更できるようになっている。


「足場を作り出すスキルで上に登っていくのですよ。」


 目の前で運営スタッフが足場を作り出してみせる。水を作り出すスキルと水を凍らせるスキルの並行稼動により、何も無い空間に水が凍って足場になった。


 空間は重力もイジってあるようで、足場はゆっくりゆっくりと落下していく。その上に飛び乗り、さらに足場を作ることで上方向に進んでいこうということらしかった。


「面倒だな。」


「この技は熟練度を必要としますので、下でお待ちください。」


 以前のエピソードでプレイヤーは、この技を鍛えられているそうだ。熟練しているはずの運営スタッフでも50センチ登るのに5分くらい必要だ。


 それよりも周囲の運営スタッフのニヤニヤ笑いが気になる。そんなに面白い作業だろうか。


「危ないっ。」


 上空から氷柱が落下してきた。しかも横方向に1列一斉に落ちてくるので前方に避けるとさらに氷柱が落ちてくる。前方の壁際まで追い詰められてしまう。どうやら前後に運営スタッフがばらけたのは、他のプレイヤーが登る際に邪魔をしないためのようだ。


 仕方が無いので壁際に落ちてきた氷柱の上空に『移動』する。これも一応足場の一種らしく重量の関係上落下速度は速いが上に乗ることができた。


 このまま上空に『移動』していくのがベストだと思うがどのタイミングで再び氷柱が落下してくるか解らないので少しずつ上方向かつ後方に『移動』していくと後方の壁際にたどり着いた際に上方から氷柱が現れた。


「避けられないっ。」


 上空から運営スタッフの動きを見ると氷柱が落ちてきた場合は前後方向に足場を作り回避している。なるほど、ああやって氷柱が通り過ぎるまで待つのか。


 1人の運営スタッフは運が悪く後方に足場を作ってしまい。さらに氷柱が降ってきたため回避できなかったようだ。氷柱がプレイヤーを貫く。硬直時間があるようで足場が維持できる時間を越えてプレイヤーが落下していったようだ。最初からやり直しなのだろう。


 もちろん俺は氷柱の上に『移動』する。あとはルーチンワークだ。前後に少しずつ登りながら『移動』する。今度はそこかしこで悲鳴が聞える。


 それを繰り返していくと壁から突き出た足場に到着する。ここからボス部屋に入るのだろう。


「遅いぞ。」


 足場で待つこと4時間。ようやく一人目の運営スタッフが到着する。高さから類推すると1時間もあれば登ってこれると思うんだが熟練していたんじゃなかったのか?


「あのですね。時間差も無く氷柱が降ってきたのでは避けようが無いんです。」


「そんなこと説明しなかったじゃないか。」


 その避けにくい氷柱への対処方法を説明せずに勝手に進んだのは君らだろう。


「前後に避ける際に氷柱が発生しないように若干下に足場を作り続けることで氷柱を避けることができる。」


 でもそれだと下で待っているプレイヤーは上空に居るプレイヤーとシンクロするように動かないと避けられないだろう。あのニヤニヤ笑いは俺が受けるであろう氷柱の直撃だったのだ。性格悪いな。

 

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