表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
531/563

第11章-第109話 ようかん

お読み頂きましてありがとうございます。

「うわっ。最悪モードだ。」


 面倒なので2階のボスをサクッと削除して3階に登った。


「なんだ。その最悪モードというのは?」


 運営スタッフが呟いた言葉をオウム返しに聞き返す。こっちはド素人なんだ初めから説明してくれよな。


「ここは火山のエリアなんですが1万分の1の確率で発生するモードで辺り一面熔岩の海になるんですよ。ボス自体は弱いので僅かにある身軽さに特化するか。防衛力特化した盾持ちが熔岩の海を渡って攻略します。」


 俺の厳しい視線が耐えられなかったのか。攻略を諦めきっているのか。随分素直に教えてくれる。


 熔岩の海を泳いで渡らせようとか鬼畜な設定だな。


「俺が『移動』して、ボスを倒せばいいんだな。」


 HPが10億ほどあるので、熔岩の海を渡ってもいいんだが、心理的抵抗感がありすぎる。誰だ。こんなことを考えたの。


「『移動』って何です?」


 運営スタッフが初耳とばかりに聞いてくる。


「いわゆるテレポーテーションだ。」


「この世界の魔術師にそんな魔法は、使えません!」


 今まで何を見てたんだ。散々使ってきただろうが。自分自身のオブジェクトを今居る空間から別の空間にムーヴさせるだけで、歩いていることと大差無い。


「右手の前方がボス部屋の前だったな。じゃあ行ってくる。」


「ちょっと待って下さい。俺たちも連れて行ってください。ボス部屋の扉が開くと同時に、こちら側は熔岩に飲み込まれるんですっ。」


 物凄く必死な様子が伝わってくる。


 極悪な設定だな。次の階に進んだ時点で死に戻るらしい。


「まあいいか。試さなくてはいけないこともあるから協力してくれ。」


 20倍で動く俺なら多少目測を誤っても続けて『移動』できるし、たとえ熔岩の海に落ちてHPが減っても死なないが、彼らはどうだろう。


 運営スタッフチームの5人を次々と『移動』で飛ばしていくと4人目でボス部屋の前に『移動』できた。女性メンバーくらいは助けないとな。


 3人目までは熔岩の海にジュっといって落ちた。しかも1秒毎に減っていくHP量が少ないのか。なかなか死なない。ゲームで生き地獄を味わって何が楽しいのか。皆、笑顔だった。


 まあそのおかげで俺は1発でたどり着けたんだから、見なかったことにしておこう。


「・・・何?」


 ボス部屋に入ろうとしたとき、連れてきた女性の運営スタッフの視線を感じた。


「鬼畜。」


 それを運営スタッフが言うかなあ。


「・・・・・・。」


 もう1人の女性は何か言いたげだ。まるで俺が非道な行いをしているときの渚佑子のようだ。


 絶対。Sだ。


 この女性が極悪モードのデザインをしたのだろう。


     ☆


「なんだこりゃ。・・・しかも、この匂いは何処かで嗅いだことがある。」


 ボス部屋に入った途端、出て来たモンスターに目を丸くする。地面から四角いワームが出て来た。


 モンスターが吐き出した液体の臭いが部屋中に充満する。甘ったるい臭いだ。


「そうでしょうね。黒糖羊羹ですから。」


 後ろでドS運営スタッフの声が聞こえた。


「なんで・・・ようかん・・・って・・・まさか!」


 極悪モード専用のモンスターで誰でも簡単に倒せるって言っていたよな。『熔岩の海』から上がりボスを倒せば、ボス部屋に『羊羹の海』が出来・・・。


「サクッと倒してください。」


「いや譲るよ。このゲームはバグだらけだ。実稼働でのテストも兼ねてやった方がいいんじゃないかな。」


「そうですか。じゃあ遠慮無く。」


 俺は『フライ』を使って飛び上がる準備をしながら、そのときを待つのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】「ガチャを途中で放棄したら異世界転生できませんでした」
https://ncode.syosetu.com/n4553hc/
もよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ