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第10章-第90話 戦争を思い止ませるために

お読み頂きましてありがとうございます。

「スカっとしたよ。」


 首相官邸に寄ると鷹山首相が笑顔で出迎えてくれた。記者会見をテレビで見ていたらしい。


「そういえば首相は官房長官時代に的にされたんでしたね。」


「そうなんだよ。官房長官は首相の女房役と言っても、殆どの情報は官僚が握っていてなにも知らされていない。せいぜい依頼されれば、首相の代わりに人と会ったりするがね。それも直前まで知らされていないんだ。」


 首相の外遊中に国連の偉いさんと会わなかっただけで糾弾されたのだ。既にスケジュールがビッシリ詰まっていたという理由だった。


 誰かと会うには、他の誰かと会うのを止めなければいけない。他の誰かと会うのを止めればドタキャンと糾弾されるのだ。どっちに転んでも糾弾されるならば会いたくない人間と会わないのが人情だろう。


 そんなこともマスコミは解らないらしい。いや解っていて手ぐすね引いて待っているのかもしれない。


「私たちのことを超人か何かと勘違いしてますよねヤツら。国に入ってくる情報の全てを脳細胞に記憶したら1日でパンクする。官僚のしたことに目を通すのがやっとだということが解らない。」


「・・・・・・。」


 俺の顔をジッと見てくる。


「何ですか、まさか貴方も俺のことを超人だと思っているんですか?」


「超人だし。」


 小さな声だと聞こえないと思ったのかボソッと呟くなよな。とりあえず無視するか。魔法が使えるからといっても記憶力が倍に増える訳じゃない。どちらかと言えば覚えることが増える分だけ、こちらの世界の人間より不利だ。


 そのときだった。


 執務室の机の上の電話が鳴り響く。この電話機は官僚からだ。官僚は報告があるときは首相官邸に出向くので滅多に使われない。本当に緊急事態のときぐらいだ。


『鷹山だ。・・・何っ・・・佐渡基地が攻撃。レーダーは・・・破壊だと。どこの国だ。中国かっ北朝鮮かっ。国籍は南朝鮮人として入ってきたが北朝鮮の軍服だと・・・。』


「テロですか?」


「そうだ。レーダー施設がヤラレた。どういうことだ? 中国軍なら解るが北朝鮮だと。南朝鮮と北朝鮮と中国の連合軍かっ。北朝鮮と中国が協力するとは思えん。」


 竹島は南朝鮮の占領が続いており、軍を動かしてまで占領するとなると初島しかない。


 北朝鮮が核兵器を持つようになってから、中国と北朝鮮の仲は決定的になった。食糧支援が無くなり、国連でもアメリカに同調するようになった。


 喉元に突きつけられた刃に一番敏感に反応したのは国境を接する中国だったわけだ。その実、協力していたのは米軍基地を要する南朝鮮で、ソレを知ったアメリカは米軍基地を放棄して今に至るのだ。


 その両者が協力するなんて有り得ない話だ。


「本格的に朝鮮を統一するつもりですかね。」


 北朝鮮と南朝鮮が統一するには日本と敵対するのが一番簡単だ。国民の理解も得やすいだろう。目当ては初島か対馬列島といったところだろう。


「無いだろう。」


「ですよね。」


 南朝鮮はクーデター国家だ。国民の意に反する国家運営を行うと軍が市民が声を上げて大統領を罷免、あらぬ罪で投獄してしまう。


 その南朝鮮が北朝鮮と統一されるなんて有り得ないはずだ。


「今の政権は北朝鮮寄りだ。操られていると見るべきだろう。」


「何のために?」


「貿易は対中国と対日本に依存する南朝鮮が片方を切っても成し遂げたいことなんて、そう多くないはずだ。」


 その国益に依存する北朝鮮にとっても同様だろう。


「北朝鮮が圧倒的優位に立てる何かが佐渡にあるとか。」


 そのときだった。俺にスマートフォンが声を上げる。


『そうだ。何もするな。大丈夫だ。その船はどんな攻撃を受けようとも沈まない。』


「なんだ?」


「タンカーの前に艦隊が現れたそうです。タイミングからいって南朝鮮軍でしょう。」


 タンカーは丁度、日本海を佐渡に向かって航行中だ。


「どうするんだ?」


「丁度いい。タンカーの防衛力の評価に協力して貰いましょう。それに自衛隊が専守防衛に徹せれるか評価できる。」


「大丈夫なのか?」


「大丈夫です。外宇宙を航行できるように設定された船ですよ。どんな攻撃にも耐えてみせます。」


「危機管理担当大臣に・・・任命できないじゃないか。どうするんだ?」


「防衛大臣もいらっしゃるのですから、俺の出番は無いでしょう。今回はタンカーの所有者として高見の見物と洒落込みます。まあタンカーに手を出せば民間人として報復はさせて貰いますがね。」


 南朝鮮1国ならば、渚佑子1人で十分だろう。


「そんなっ。せめて閣僚として助言くらいは。」


 これくらいは想定内だ。直接タンカーが危険に晒されるならば、日本政府よりも自衛隊よりもタンカーの船員である従業員の安全が優先される。


 専守防衛なんて、とんでもない。タンカーに攻撃力は無いが渚佑子がうごけば戦争を思い止まることもあるだろう。


「それくらいなら大丈夫ですよ。渚佑子、コッチは専守防衛の必要は無いからな。南朝鮮本国の指揮系統を徹底的に叩け! 山田ホールディングスに手を出したことを後悔させてやる。」


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